たとえば、で始まる言葉は限りなくあるのに対して、現実は一つしかない。想像の中では何もかも自分の思い通りになり、自分自身は自分の理想の人間像であって、嫌いな人間は消してしまえるのに、現実は。わたしは夢なんか見ないようにし、現実だけを見るようにしている。つもり。あんまり素敵な想像をしすぎると現実への失望が大きくなってしまうことを知っているから。夢の中の住人になってしまったら最期で、もうその人はこの世で生きてはいけない。絶え間なくため息をついて過ごす。一気に老けるよ。