この音楽を止めたら わたしも立ち止まるのだろうか


ヘッドフォンをして、外を歩く。音楽なんか意識して聞こうとなんかしてなくて、ただ聞こえてくる、といった状態だった。わたしは何も考えてなかった。文字どおり、頭の中はからっぽだった。雨の中を、ただせっせと歩くだけ。


別に何があったわけでもない。こういった具合に、突然頭の中がからっぽになって、何をする気もなくなることがある。無気力になる。何も考えないうちにいつのまにか時間が経ってくれるからって、眠くもないのに寝ようとする。


ふと下を向いたら、白いスニーカーに泥が跳ねてるのが見えて、やりきれない気持ちになった。家に着いたらまずこれを洗おうと思った。わたしはヘッドフォンで両耳をふさいで、何かに引きつけられるかのように歩いた。何も見えてなかった。