by 北村 K介 

 

 

 「誕生日用のは、ありますか?」

 ございます、という言葉に室井は安堵する。

 「じゃ、それを下さい。小さめの」

 「かしこまりました。」

 支払いをすべく、内ポケットの財布を探っていると、店員ににっこりと尋ねられる。

 「メッセージは、どうなさいますか?」

 ?と少し眉を寄せてしまった室井に、白い帽子、白いエプロンのその女性が、小さな

 チョコレートの板を見せてくれる。

 「こちらにメッセージを書いて、ケーキの上に飾ることができますが」

 いかがいたしましょう、と尋ねられて、室井は少し困惑した。

 メッセージ…。

 特に、書いてもらいたい言葉がある訳でもなく、浮かぶ訳でもなく。

 室井はひとつ、溜息をついた。

 「お誕生日おめでとう、と書いておいて下さい。」

 「お名前は、お入れしなくてよろしいですか?」

 重ねて問われて、じゃ青島、と入れておいて下さいと答えた。

 こんなとき、気の効いた言葉ひとつ浮かばない自分が、少し情けない。

 言葉を惜しむ訳じゃないのに。

 伝えたい気持ちはあるのに。

 沈みそうになった室井の思考は、明るい声に遮られる。

 「ロウソクは、何本お入れしましょうか?」

 「あ」

 いくつになった?あの男は。

 とっさに思い出せなくて、少し焦った。

 

 

 いつもの鞄と、綺麗な紙とリボンに飾られた白い箱を持って、夜道を歩く。

 ポケットにも、胸を暖かくする、小さな包みがある。

 いつもより早いとはいえ、もう既にどこの家でも夕食は終わった時間だ。

 ひょっとすると、後片付けも終わっているかもしれない。

 冷たい夜風に逆らうように、背筋を伸ばしてさっさと歩く。

 はやく、はやく。

 あの男が待っている。

 

 

 たどりついたアパートの一室は、暖かい空気に満たされ、

 暖かい笑顔の男が、室井を嬉しそうに招き入れた。

 小さな部屋。小さな食卓。

 その上の、小さなケーキ。

 灯される、ロウソクのあかり。

 室井の手から、小さな包みが、男の手に渡される。

 「室井さん、ありがとう」

 大きな笑顔。大きな身体。青島の。

 腕の中に、すっぽりと包み込まれる。心ごと、包み込まれる。

 安堵してしまう、大きな、幸せ。

 せめてもの言葉の代わりに、自分から、おめでとう、と口付けた。

 

 

 

 そして、今年も。

 室井は、ケーキを買いに行く。

 ラフな格好で、駅前のケーキ屋まで。

 

 「メッセージは、どうなさいますか?」

 「青島、健康診断を受けろ、と書いて下さい。」

 

 若い店員は笑った。

 室井も、笑った。

 

 もう室井は、焦らない。

 言いたいことも、伝えたい気持ちも。

 あの男は、わかってくれている。

 

 「ロウソクは、何本お入れしましょうか?」

 「61本、入れて下さい。」

 

 室井は、笑みを深くする。

 実年齢を裏切る、いつもの笑顔を思い浮かべて。

 

 

 お友達ですか、仲がよろしいんですね。

 包装しながら、店員はそう言った。

 一瞬。

 眉を上げ、目を見開いて。

 それから、優しい皺を刻んで微笑んだ。

 

 「いえ、腐れ縁です。」

 きっぱりと答えて、室井は更に微笑った。

 

 

 

 


 題名がありません。

 お構いなければ、付けていただけると幸いです。

 ちなみに、もちろん返品可、です。

 …ケーキ屋、って今時あんまり言わないと思うんですけど、室井さんなので

 許して下さい。


 

 きゃ〜っ、きゃ〜っ、きゃあああああ〜〜〜〜〜〜っっっ♪♪♪

 K介先生どうもありがとうございます〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!!! (><)

 すごい、凄い、ラブラブだよハッピーだよ、しかも しかもっっ!! 青島の誕生日もので

 感涙ものの共白髪小説だよおおおおおおお〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!!!!!(はぁはぁゼイゼイ) 

 あああああめっちゃ嬉しいですうううううう〜〜〜〜!!!!!!!!!!(感泣)

 なんでこんなにうまいんですか? もう天才的ですよK介先生っ♪

 返品だなんてとんでもない!! もうありがたく押し頂いちゃいますよ〜(はぁと)

 下手なタイトルでごめんなさい(T_T) 最初「シュガーケーキ」って付けようかと

 思ったんですけれど共白髪小説なのにそれはどうよ、と自分突っ込みで却下。

 どちらにしても平凡なタイトルしか思い付かないこの凡庸な頭が憎ひ…(T_T)

 せめてものお詫びとお礼に下のケーキをフォトショップで作ってみました。えへっ♪

 ケーキプレートの文字を書くのって意外と難しくて、プレートにチョコペンですらすらと  

 文字を書けてしまえるケーキ屋のお姉さんを尊敬しました…(^_^;;)  とにかく!!

 K介先生ホントにどうもありがとうございました〜〜〜♪(*^o^*)/

 

 

 

 

 

 

モドル