下町侍女事情




 4

「それじゃあ、まずはこれをしゃぶって貰おうか」
 厩舎に連れ込んだマリスを藁の上に強引に押し倒すと、ザラックはズボンを脱ぎ捨て、既に半ば起立した男根を、マリスの口元に突き付けた。マリスは暫く無表情でザラックを見上げていたが、やがて髪をすくうと、赤いルージュのひかれた唇を微かに開き、標準的なそれに軽く口付けを交わす。
「妙に慣れているじゃねーか。マリスさんって、実は淫乱なのか?」
 からかい半分のザラックを無視して、マリスは何度か鈴口をはじめとした亀頭にまんべんなくキスを繰り返した。そして頃合を見計らうと、今度は自らの赤い舌にたっぷりの唾液を含ませ、ザラックの男根をまんべんなく、じっくりと舐め上げる。マリスの唾液によって淫靡な光を放ち始めたザラックの男根は次第に勃起を極め、それが完全な強度を保った時。マリスは口を大きく開け、ザラックの起立しきった男根を口の中に含みいれた。
「うまいぜ、マリス。そのまま口でしごいてくれよ」
 いつのまにか呼び捨てにされている事に僅かに眉を潜める。しかしマリスは何も言わずに小さく頷いた。無論、そんな事をザラックごときにわざわざ言われるまでも無い。マリスは唇を窄めると、歯を当てないように気を付けながら、ザラックの男根を唇を使ってゆっくりとしごき上げる。そして片手で袋を優しく揉みながら緩急を付けた愛撫を繰り返す。そんなマリスの妙技の前にはランスすら怯む程である、ザラックなどが到底太刀打ちできないのは火を見るよりも明らかだった。
 わずか数分の内にザラックは低くうめき声をあげ、マリスの頭を抱え込み前かがみになった。
「ちょ・・・・・・うぁっ、あんた上手いよっ。もう出ちまう・・・・・・っ!」
 亀頭が膨らむ瞬間、マリスは喉の一番奥まで男根を飲み込んだ。そして喉の奥で勢いよく射精された精液を、たっぷりと時間を掛けて飲み込んでいく。もちろんその間も袋を優しく刺激し更なる射精を促すと、ザラックは腰を震わせながら、予想をはるかに上回る強烈な快感に全てを吐き出させされたのだった。
「・・・・・・なんだよ、あんた。以前は娼婦でもしていたのか?」
 驚きの表情のザラック。マリスは口の中に僅かに溜まった青臭い精液を全て飲み下してから、静かに首を振った。 「いいえ。そのような事は一度も」
「嘘だろ? けど、まぁいいや。こんなに気持ち良いフェラしてもらったんだからな」
 ザラックはヘラヘラとだらしない笑みを浮かべ、
「そんじゃあ今度は俺が楽しませてやるよ。下着を脱いで尻を向けな」
「はい」
 言われるがままに下着を脱ぐと、マリスは藁の上に四つんばいになり、ザラックに向かって陰部を突き出した。短いスカートから覗いたマリスのクレヴァスは美しいサーモンピンクで、形も整っており美しかった。しかも僅かにだが湿り気を帯びていて、それがザラックの性欲を嫌がおうにも煽り立てる。
「さっきのお礼だ。ひぃひぃ言わせてやるよ」
 そう言うなりザラックは人差し指を一舐めして、マリスのクレヴァスにそれを無造作に差し込んだ。クチュリ、と音を出して飲み込んだそれを何度も出し入れを繰り返す。次第に湿り気こそは増してくるものの、とてもではないがひぃひぃとは言えない単調な愛撫。マリスは微かに息を吐く。これでどう感じろと言うのだろうか?
 暫くするとザラックは指を2本に増やし、マリスの膣内を乱暴に掻き回す。傍若無人な愛撫。生理的反応で徐々に白く濁り始める愛液に気を良くしたザラックは、皮が被ったままのマリスのクリトリスに顔を近づけると、その皮を剥き、ぷっくりと充血したそれを口に含んだ。
「んっ・・・・・・」
 痛みに似た強い刺激に、マリスの腰が僅かに弾ける。
「へへへっ、気持ち良いだろう?」
「・・・・・・はい」
 だが、これも愛しのリア王女の為である。マリスは小さく頷いた。
「なら、もっと気持ち良くしてやるよ」
 指を抜き取り、そこに付着した粘液を舐め取り。ザラックは既に隆起している男根を、マリスのクレヴァスへと勢いをつけて挿入した。
「うぉっ、熱くてトロトロして・・・・・・良い感じじゃねーか。へへっ、さすが侍女長様だ。いいモンを持っていやがる」
 マリスの中はしっぽりと熱く、軟く、そして適度に締め付けてくる。その快感は今まで抱いたどの女よりも上で、ザラックは我を忘れて夢中で腰を動かした。すると達したばかりだというのに、すぐさま熱いものが込み上げてくる。
 ちなみにザラックは早漏と言うわけではない。単にマリスの中が、尋常ではないほどに気持ち良いのである。
「くっ、よしっ、中に出すぜっ! そらっ!」
「んっ・・・・・・」
 熱い迸りを子宮に受けて、マリスは僅かに身体を震わせたのだった。

「ふぅ、今日はこの辺にしといてやるぜ」
 膣から抜き出したばかりの男根をマリスにしゃぶらせ、ザラックは荒い息を吐きながら言った。
「明日は、そうだな・・・・・・よし、今日と同じ時間に此処に来い」
「わかりました」
 男根のぬめりを丹念に舐め取ったマリスは口元をハンカチで拭うと、微かに笑みを浮かべ、頷いた。
「へへへっ、明日はコレを使って可愛がってやるよ。期待しときな」
 ザラックは紙袋の中からあの巨大バイブを取り出すと、それをマリスに見せつける。それを見たマリスは一瞬だけ眉を寄せたが、
「了解しました。それではまた明日、同じ時間に」
 下着を身に着け服の乱れを正し、マリスはその場を立ち去ったのだった。


 5

 リア王女が欲している黒光りする巨大なバイブ。それはカースドアイテムの可能性を秘めた、とても危険な代物であった。しかしザラックはその事実を知らない。それがマリスにとっての唯一の不安材料だった。
 願わくばバイブを使用させることを避けたい。しかしマリスは一週間とはいえザラックの奴隷であり、彼の言葉に服従することが務めなのである。ザラックがバイブを自分に使おうと言うのならば、それは受け入れるしか仕方がなかった。
 そう、全ては愛するリア王女の為なのだ。
「お待たせしました」
「よぉ、時間通りだな」
 昨日と同じ時間に同じ場所での言葉通り、今日も厩舎での逢瀬である。藁の上に仰向けに寝転び、にやにやとこちらを見上げているザラックに対し、マリスは微かに笑みを浮かべてみせた。
「それじゃあ早速始めようぜ。マリス、服を脱ぎな。そうだな・・・・・・俺の目の前でストリップをしてみろ」
「わかりました」
 ザラックの言葉通り、マリスは衣服を一枚ずつ脱いでいく。そして黒い下着一枚を残した均整の取れた美しいプロポーションが露になると、場末のストリップ劇場さながら、ザラックは下品に口笛を吹いて見せた。
「ほんと、侍女なんかにしておくのはもったいないぜ。どうだ、いい店を紹介してやるから娼婦になってみないか?」
「私にはリア様がいますので」
 微笑み、マリス。ザラックは肩をすくめた。
「あんたなら好きなだけ稼げそうなモンだけどな。・・・・・・まぁいい、こっちに来な」
「はい」
 ザラックの伸ばした手に腕を取られ、マリスはザラックの胸の中に強引に抱きすくめられる。微かに眉を潜めたマリスだが、しかし一切の抵抗はしない。もちろんそれはリアの為、ただそれだけに他ならない。
「今日もめいいっぱい可愛がってやるよ」
 強引に唇を奪われ、舌を絡められる。マリスはザラックのされるがままに舌を絡め、流れてきた唾液を飲み下した。濃厚なディープキスの合間にザラックの手は下着の上からマリスの豊満な乳房を乱暴にもみ上げる。痛みの為にマリスは微かに眉を顰める。
「・・・っ」
「へへへっ。マリス、あんたは最高の女だよ」
 歪な笑みを張り付かせたまま。ザラックはマリスのブラジャーを剥ぎ取ると、胸に谷間に顔を埋め、マリスの柔らかな胸の感触をじっくりと味わった。そして右側の乳房にむしゃぶり付く。僅かにしこり始めた乳首を子供のように執拗に舐め上げ、吸い付きながら、右手の人差し指で下着の上からマリスのクレヴァスをなぞり上げる。そこは、僅かにだが湿り気を帯び始めていた。
「マリス、正直に言いな。感じているんだろう?」
「・・・・・・はい」
 少しも感じてなどいない。これは生理的なモノだ。しかしマリスは小さく頷いた。
「なら、もっと感じさせてやるよ」
 ザラックはマリスの足を大きく開かせる。そして股間に顔を埋めると、黒いショーツの上からマリスのクレヴァスを執拗に舐め始めた。それはどこまでも稚拙な愛撫であったが、
「んっ」
 敏感な部分を執拗に刺激されると、流石に身体が反応してしまう。マリスは微かに呼吸を乱し、それでもザラックの愛撫に身を任せた。暫くするとそこはザラックの唾液とマリスの愛液によってぐしょぐしょに濡れそぼり、マリスの太股に熱い粘液をしたたせる程になる。
「よぅし、そろそろだな」
 顔に粘液を張り付かせたままザラックはマリスの股間から顔を上げると、脇に置いておいた紙袋から、あの巨大な黒バイブを取り出した。
「今からコレを、マリスの穴ん中に突っ込んでやるよ」
 その瞬間、マリスの口元が引き締められる。果たして呪いの効果とはどれ程のモノなのだろうか。襲い来る未知なる恐怖に、流石のマリスも身体を強張らせた。
「何せこれだけの大きさだ。きっとたまんねぇぜ」
「んんっ!」
 淫らに膨らんだ頭の部分で下着の上からクレヴァスをなぞられ、たったそれだけの事なのに、マリスは大きく身体を震わせた。まるで雷にでも打たれたかような強烈な刺激が、マリスの脳天を貫いたのだ。
 たちまちマリスの脳裏に警鐘が響き渡る。これは予想を遥に越えている、このままではとんでもない事になる、迅速にこの場から逃れなければ・・・・・・。
「あっ! んっんんっ!!」
 しかしマリスが行動を起こすよりも早く、再度バイブでクレヴァスを、今度は先程よりも深くなぞられ、マリスは悲鳴と共に大きく身体を仰け反らした。それは、SEXから離れていたマリスが久々に感じた、強烈なオルガムスであった。
「おいおいっ、ちょっと大げさ過ぎやしねぇか?」
 四肢を力無く投げ出し、荒い息をつくマリス。さすがにザラックもこれには驚いた様子だった。しかし、これほどまでに淫らに喘ぐマリスの痴態に、激しく欲情をそそられたのも事実だった。
「もしかしてこいつの魔力が原因なのか? なら、さすが金貨10枚しただけの事はありやがる。すげぇ威力だな・・・・・・」
 マリスが吐き出した愛液に濡れたバイブを眺め、半ば呆然と呟く。しかし、その表情は一変する。
 歪んだ笑み。
「じゃあ、突っ込んじまえばどうなるんだ?」
「っ!」
 マリスは慌てて身を起こそうとするが、身体が痺れて言う事を聞かない。ザラックに組み敷かれ、あっという間にショーツを脱がされてしまう。マリスのそこは微かに痙攣を繰り返し、淫らに口を開け涎までを垂らしていた。早くそのバイブを入れてくれ、そう言わんばかりに。
「嫌っ、駄目!」
「そうらっ」
「あああああああああっ!!」
 一気に子宮まで突き刺され、マリスは白目を剥いて嬌声を上げた。それはもはや快楽などと言う生易しいモノではなかった。身体が灼熱のマグマに溶かされた様に。地獄と紙一重の天国の中に、マリスは瞬時にして放り込まれたのだ。
「はははっ、気持ち良さそうだな。もっと動かしてやるよ!」
「ああっ、駄目っ! やめっ、うぁ、あああっ、あああああああ!!」
 岸辺に打ち上げられた魚のように激しく波打つマリスの身体を押さえつけ、ザラックはバイブを激しく動かした。前後、左右、そして円を描くように。その度にマリスはあられもない絶叫を上げ、何度も何度も絶頂を極めさせられた。次第にマリスの顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになり、突き出された舌は激しく痙攣し、開けっ放しの口からはだらしなく大量の涎が零れ落ちる。
「ひぃっ、もうらめぇ、ああっ、ああああ・・・・・・」
 もはやマリスの意識は吹き飛んでしまっていた。強烈を極めた快楽は次第にうだるような苦痛にとって代わり、マリスの精神をどこまでも破壊していく。そして数十の絶頂の後、マリスは全身に脂汗をかき、藁の上でびくんびくんと痙攣するだけの肉塊と化してしまっていた。
「すげぇぜ、これさえあればどんな女でも言うがままじゃねぇか」
 ザラックは痙攣を繰り返すマリスを眺め、陶然と呟いた。
「こいつを使ってあいつやそいつを、果てはリア様だって・・・・・・」
 と、マリスの中へ深深と刺さったバイブを引き抜こうとした時である。
「あれっ、おいっ、なんで抜けねえんだ!」
 まるで強烈な接着剤でも付けたように、バイブがぴくりとも動かないのである。しかも、
「なんだよ・・・・・・一体どうなっているんだ?」
 今まで一心不乱になっていたのでまるで気付かなかったが、バイブが妙に熱くなっているのだ。しかも徐々にその熱は温度を上げ、しまいには持ってさえいられなくなる。ザラックは火傷寸前で、慌ててバイブから手を離した。
 そして、ザラックがバイブから手を離したと同時だった。
 マリスに突き刺さっていたバイブが、ずぶり、ずぶり、と突如として勝手に抜け始めたのだ。しかも、その色を黒から赤へ、そして肌色に変えながら。さながら、マリスの股間で巨大な男根が勃起するかのように。
「おいおいっ、冗談じゃねぇぞ・・・・・・」
 目の前で起こっている理解不能な現象に、ザラックは引きつった声を上げたのだった。


 6

 意識が混濁している。まるで海の中を漂っているようだ。
 しかし、自分の股間に異常が起きていることだけは判った。
 弛緩している身体をなんとか動かし。マリスは自分の股間を触り、そしてその異変に気付いた。
 そこには30cmはあろうか。巨大な男根が生えていたのである。
 しかも触ってみると、しっかりとした感覚が伝わってくる。すなわちこの男根は、自分の身体と完全に一体化してしまっているのだ。これにはさすがのマリスも平静ではいられなかった。だが、慌てたのは一瞬だった。そうだ、考えれば判る。すなわち”これ”が、あのバイブの呪いという訳だ。
 なんとか上半身を起こし、辺りを伺って見る。ここが厩舎の中だということは瞬時に判った。周りには・・・・・・誰もいない。
 そう言えばザラックの姿が無い。どこへ行ったのだろうか。暫く考えてみてから、マリスは納得した。そう、彼は逃げたのだ。目の前で起きたこの異変を目の当たりにして。前線を前にして真っ先に逃げ出す兵らしい。マリスはやれやれと肩をすくめた。
 それにしても、である。
 マリスは酷い虚脱感になんとか逆らいつつ上半身を起こし、股間にそびえ立った自分の男根を見下ろした。それは30cmはあろうか、マリスでさえ稀に見る程の巨大な性器で、青い血管を浮き出させながら、時折なまめかしくぶるりと痙攣を繰り返している。
 念のために、もう一度触ってみる。
「っ」
 かなり敏感なモノなのだろう。女性では本来味わうことの出来ない鈍い快感が、マリスの背筋をぞくりと痺れさせた。
 熱く熱を持ったそれを、腫れ物を扱うように暫し触り続けてから。
 ふぅ。
 軽く溜息をつく。
 マリスは藁の上に座り込んだまま、厩舎の薄汚れた天井を見上げた。
 果たしてこれからどうすべきだろうか。
 これが、この巨大な男根がもし呪いの成した現象ならば、早急に宮廷魔術師に見せ、呪いを解除してもらうべきだろう。そう、それが自分にとっては一番の選択である。
 しかし、だ。
 もし呪いを解いた時点で、このバイブが消滅してしまったら。リアに会わすべき顔がなくなってしまう。マリスにとって、それだけは避けたかった。
 ならばどうすべきか・・・・・・。
 その時ふとリアの笑顔が脳裏に浮かび、マリスは微かに笑みを浮かべた。このまま悩んでいても埒はあかない事だけははっきりしているのだ。ひとまず宮廷魔術師と相談だけでもすべきだろう。もしかすると良い案があるかもしれない。
 マリスは急いで衣服を身に着けようと思った。しかし股間にそびえ立った男根のせいで、ショーツどころかスカートをはく事すらできない。無論、さすがにこのままの姿で外を歩く事はできない。
 マリスはやれやれと、股間にそびえ立った男根を見た。それは期待のためだろうか、先端から透明な液体が僅かに染み出している。
 つまり、こういう事なのだ。
 自分で処理をしろ。
 熱い男根に触れながら。マリスはもう一度だけ、ふぅ、と息をついた。
 それにしても、まさかこんな事をすることになろうとは。しかしこのままの姿でここに居続ける訳にも行かない。マリスは立ったまま男根を右手で触ると、竿の部分をゆっくりとしごいてみた。
「んんっ」
 ただそれだけの事なのに、マリスは小さく喘ぎ声を漏らした。自らの男根から伝わってくる感覚はとても新鮮で、しかもそれは強烈な快感だった。自ずとしごく手に力がこめられ、快感は更に加速を見せる。徐々に込み上げてくる未知な感覚、射精感と共に、マリスは徐々に前かがみになり、目前の柱に手をついた。頭の中が柔らかい熱に侵され、ともすれば意識を保っていられなくなる。
 亀頭から零れ落ちた液体が濃い粘りを伴い始めると、マリスの手は更に速度を増し、その度にくちゃりくちゃりと卑猥な音を立てる。しかしマリスの耳にはそんな音を聞き取る余裕は無かった。ただ黙々と、荒い息を吐きながら自慰を続ける。
 そして、絶頂は前触れも無く訪れた。
「・・・・・・うんっ!」
 何かが物凄い勢いで込み上げてくる来る。そう思ったとき、全身を荒々しい快感が貫いた。マリスは身体を仰け反らせ、唇を噛み締めると息を詰まらせた。びゅくん、と大きく震えた亀頭から勢い良く迸る白い精液。その量は尋常ではなく、それはびしゃびしゃとはしたない音を立てながら、目前の柱に淫らな模様を描いていく。生まれて始めて味わう男の絶頂。マリスは一時でも長くそれを味わい続けたいと、一心不乱に竿をしごき続けた。
「ふぅ」
 そして徐々に射精の快感が遠のき。マリスは深く息をつくと、ようやく竿から手を離した。
 そう、予想していたのだ。こうなる事を、きっとどこかで。
 だからマリスは苦い笑みを浮かべ。
 いまだ萎える事を知らず、いきりたったままの男根を眺めたのだった。


「ねぇねぇ、マリス」
「はい。なんでございましょう、リア様」
「こんな夜遅くにどうかしたの?」
 パジャマ姿にウサギ耳のついた可愛らしいナイトキャップを被ったリアは、ベッドの上に座ったまま小首を傾げた。そう、ここはリアの寝室である。夜も遅い。こんな時間に果たして何の用事なのだろうか。
 マリスはそんなリアに向かって、にっこりと微笑んで見せた。
「ザラックさんから、お預かりしたものがあるので。それをお渡しするために参りました」
「えっ、もしかしてあのバイブが手に入ったの?!」
「はい」
「わーっ、早く見せて見せてっ!!」
 喜び、ベッドの上を飛び跳ねるリア。
「はい、わかりました」
 そう言ってから、マリスはゆっくりと自分のスカートを捲り上げた。
 ショーツは履いていない。だから、リアにはマリスのそこに生えているものが何か、瞬時にして判った。それは今だ萎える事無く、天に向かって隆起している。
「マリス・・・・・・それ、どうしたの?」
 さすがに言葉を失うリア。
 マリスは微笑んだまま、答えた。
「これがあのバイブなのですよ。今は呪いの為に、このような姿ですが」
「うわーっ、そうなんだぁ」
 リアはベッドから飛び降りると、恐る恐るといった感じでマリスの怒張を触った。それは太くて熱くて硬くて、どう見ても本物としか思えない触り心地だった。
「すっごいよマリス。まるで本物みたい・・・・・・」
「ん・・・・・・本物と考えていただいて結構ですよ、リア様」
 亀頭を撫でられ、微かに身を震わせてマリス。
 そんなマリスを見上げるリアの目が、爛々と好奇心に満ち溢れてくる。
 そんなリアに、マリスは優しく目を細める。
「ねぇ、マリス」
「はい、リア様」
「せっかくだから・・・・・・、試してみようか」
 それは、予想していた言葉。
 だからマリスは頷いた。
「リア様さえよければ、喜んで」


 さて、問題のザラックというと。
「なぁなぁっ、聞いてくれよ。あの侍女長のマリス、実はとんでもない女なんだぜ!」
 そんな性質の悪い噂を振り撒いた事が原因で、問答無用に最前線に送り込まれ、見事に殉職したという。
「なんだよ、俺が何かしたって言うのかよ・・・・・・」
 所詮、ザコキャラの扱いなんてそんなモノである。
 合掌。