ED & FAYE


「エド?」
 賞金額50万ウーロン。たいして高くも無い賞金首を追うための金星への航行途中、フェイ・ヴァレンタインはビバップ号のメインルームのくたびれたソファーにだらしなく寝転びながら、右手の爪にマニュキュアを塗っている最中だった。
「知らないわよ。さっきまでそこで・・・・・・」
 露骨に眉を寄せて。フェイは自分に声を掛けてきた男、中華鍋片手に相変わらず似合わない白エプロンを身に纏ったこの船の持ち主、ジェット・ブラックに顔を向けた。
「犬と遊んでいたんじゃないの」
「それが見当たらなねぇんだよ。ったく、飯時だってぇのにどこ行きやがったんだ」
「あの子がどうかしたの? どうせ放っといたって、その内にご飯の匂いにつられてやってくるわよ」
 どうにも人差し指のノリが悪い。舌打ちしながら何度も塗り直しなおす。
「もしかして急用なの?」
「ああ。思い出した事があってな、ちょいとばかし急いで調べてもらいたい事があったんだが・・・・・・。しゃあねぇ、スパイクを当るか」
「はいはい、それよりも頑張ってご飯作ってねー」
 ひらひらと手を振るフェイを横目で一瞥してから、ジェットは軽く息を吐くと、中華鍋片手にメインルームを出ていったのだった。
「ねぇ、ジェット行った?」
 ひょこ。ジェットの足跡が遠ざかるのを確認したのか、向いのソファーの下から顔を覗かせたのは、ジェットが探していた(自称)エドワード・ウォン・ハウ・ペペル・チブルスキー4世、つまりはエド本人だった。隣で一緒に顔を出しているのはアインシュタイン、通称アイン。フェイよりも先にこのビバップ号に居着いている、人語を解する頭の良いウェルシュ・コーギーだ。
「ええ。ほら、隠れん坊を手伝ってあげたんだから、ちゃんと感謝しなさいよ」
「うん。ありがと、フェイフェイ!」
「わっ、こらぁ!」
 塗りにようやくひと満足し、塗料の小瓶の蓋を閉めて爪に息を吹きかけているトコロで、いきなり飛び跳ねて首元に抱き付いてきたエド。不覚にも大きくバランスを崩し、ソファーの上でエドに組み拉がれたフェイは、思わずひきつった悲鳴を上げた。
「ああもうっ、今大事なとこなんだからくっつくなっていうの!」
「えへへー。フェイのおっきな胸にすりすりー」
「っ! なにすんのよこのエロガキっ!」
 組み合ったまま首根っこを掴もうと手を伸ばした時に、偶然にもフェイの手は、エドの着ていたシャツを大きく捲り上げた。やせ過ぎだろう褐色色をした華奢な肌が露になり、そしてフェイの目に飛び込んできたのは、微かに(それはもう本当に僅かに)膨らみを帯びたエドの乳房だった。
 一瞬目を疑って、そして一瞬だけ固まってから、フェイはエドの首根っこを掴み上げると、エドの身体を力任せに引っぺがした。その勢いそのまま、けらけら笑い声を上げながら船室をころころと転がっていくエドと、それを追うアインを見送りながら。
「そういや女の子だったんだ、あいつ・・・・・・」
 フェイは半ば呆然と、小さく呟いたのだった。


 ここのところ銀河はとんでもなく平和で、大した額の賞金首が現れる事も無かった。そこにきて万年貧乏のこのビバップ号である。瞬く間に手持ちの金は底を突き、趣味の博打うちにも行けやしない。やることと言えばマニキュアを付けながら何度読み返したか判らない雑誌を捲り、付けっぱなしの下らないTVを見る事ぐらいだ。そんなこんなでフェイは少し・・・・・・いいや、かなり欲求不満だった。
 その悪戯を思い付いたのは、夕食を終えてシャワーを浴びている最中だった。あのあどけない容姿からはまず想像出来ない超天才的ハッカーであり、天真爛漫な上に荒唐無稽なお気楽極楽娘、エド。
 そんな彼女にも、果たして性欲はあるのか?
 フェイは同性愛者ではない。何度か女と寝たこともあるが、それは全て、相手が強引に誘ってきたからだ。しかもそのほとんどが、フェイにとってみれば詐欺(ビジネス)の手段でしかなかった。だから今日、エドの裸を見てそんな考えに至ったとは言え、それはエドに欲情した訳ではなかった。第一、欲情するならするで、この船には(見栄えこそそこそこな)男が2人もいるのだ。極端なアプローチを互いに避けているだけで。
 単に興味が湧いたのだ。あの、どこからみても少年としか見えない少女に、果たして性欲があるのか(ぶっちゃけた話、どんな泣き声を上げてくれるのか)と言う事に。
 そして深夜。ネグリジェの上にジャケットだけを羽織ったフェイは、自室を抜け出すと、足音を忍ばせてメインルームへと向った、
 詰まる所フェイはエドの寝込みを襲おうとしている訳だが、肝心のエドの寝室はと言うと、実は船のどこにも定まっていない。その事に特に興味を抱いた事も無い。だからエドが普段どこで寝ているのかを、フェイは全く知らなかった。星明かりだけの薄闇に閉ざされたメインルーム。じっくりと目を凝らし探してみる。相方のアインは部屋の隅ですぅすぅと寝息を立てていたが、しかし肝心のエドの姿はといえば、どこにも見当たらない。
「ったく。あの馬鹿、どこで寝てんのよ・・・・・・」
 それから暫く船内をふらふらと捜し歩き、そろそろこの行為自体面倒に思い始めた時。エンジンルームに続く薄暗い通路を、ぷかぷか漂う赤い物体(省エネの為に使用頻度の低い通路は夜半電力カットされている)が。
「寝てるわ・・・・・・器用な奴」
 エドは涎を垂らしながら、どうやら無重力の中で熟睡しているらしい。フェイは呆れながらもエドの手首を掴むと、身近の物置小屋の扉を開け、エドを部屋へと連れ込んだ。そしてポケットから用意しておいた手錠を取り出し、それの片方を壁際の頑丈そうなパイプへ、もう片方をエドの右手へと繋いだ。すばしっこいエドの事だ、逃げられる事も十分に想定されるからだ。
 犯罪? その通りだろう。今から行おうとしている行為は間違いなく犯罪行為だ。しかし相手はあのエドである、きっとその手の方面に事が波及する事は無い、心配する必要も無いだろう、そうに決っている。フェイは冷たい手錠を繋がれても、壁にもたれ掛かりくーくーと安らかに寝息を立てているエドの顔を覗き込みながら、今から行おうとしている想像がもたらす背徳感にゾクリと背筋を震わせた。
「まずは服を脱ぎましょうねー」
 小声で呟き、フェイはエドの着ているものを、時間を掛けて全て脱がせた。するとそこに現れたのは、少年と身間違えるほどに凹凸の少ない、そんな褐色の少女の裸身だった。
 フェイは脱がしたエドの服を乱雑に脇に放り投げてから、座ったままの無防備な足をそっと開かせて、その奥にある股間をまじまじと見つめた。もしかすると何かの間違いがあるかも知れない。そう思っての事だったが、エドのそこには何の間違いも無く、もちろんそこには何も付いてはいなかった。代わりにそこにあったのは、産毛と間違えるほどの薄い赤毛に包まれた、一本の薄いピンク色をした亀裂だけで。
 次にフェイは、エドの胸を見た。微かに、本当に微かにだけ膨らんだエドの乳房の先には、可愛らしい乳首が、揃ってツンと上を向いていた。青臭い、と言えばそれまでだが、そこにたまらなく官能的なモノを感じとったフェイは、ごくりと唾を飲み込んだ。徐々に頬が火照っていくのが判った。それと同時に、身体の奥の方からじんわりとした熱をが込み上げてくる。
 カチリ。フェイの頭の何処かで、スイッチが入った様な音が聞こえた。

 この可愛らしい少女を、まずはどうしてくれようか・・・・・・。

 フェイは暫く思案した後、まずは自分も着ているものを脱ぐ事にした。ジャケット、ネグリジェ、そして下着を急いで脱ぐ。その理由は第一に下着を汚したくなかったのだが、既に遅かったようだ。フェイの股間からは、一筋の銀線が、下着へと淫靡な糸を引いていた。しかしそんな事はそうでもいいかの様に、フェイは着ていたものを乱雑に脇のダンボール箱の上に積み上げると、鼻息を荒げてエドに向き直った。
 ビバップに来てから本当に久々だった。性欲と言う物が、こうまで激しく掻き立てられたのは。しかもその相手がまさかこのエドに向けられようとは。そうだ、エドには覚悟してもらおう、あたしのテクは半端じゃあない。どれだけの異性、そして同性を、快楽のダンスで踊り殺してきたか。あたしが疲れるか飽きるまで。今夜はこれ以上、寝かせやしないんだから・・・・・・。
「ふふっ」
 口元に淫らな笑みを張り付かせたまま、フェイはエドの口元に唇を寄せると、そこから零れ落ちた一滴の涎を舐め上げた。熟れきった果実のような、豊潤な甘さが口内一杯に広がる。
 そしてそれが、宴の始りの合図となった。
 胸の薄い子は乳首がとても敏感だという。フェイはたっぷりの唾液を口内に溜めてから、エドの尖った乳首へと舌を伸ばし、乳首を押し込むようにねっとりと舐め上げた。
「ん・・・」
 刺激を受けて、エドの身体が僅かにこわばった。目こそ覚まさないが、きゅ、と細い太股に微かな力が入ったのが判る。その反応に気をよくしたフェイは、そのまま丹念にエドの乳首を舌で嬲りながら、空いていた右手を使って、まだ硬さの残るエドの乳房を円を描くように優しく揉み上げた。そして左手は、エドの無垢で淡いピンク色をした亀裂へと向かわせる。
 其処はさすがに濡れてこそきてはいないが、それでもピッチリと閉ざされたスリットを人差し指の腹で丹念になぞる。それと平行しながら胸をしつこく愛撫している内に、エドの呼吸が僅かに乱れてきた。もしかして感じてきているのだろうか。フェイはそれを確認するために、自分の唾液に濡れて淫らな光を放つエドの小さな乳首を、軽く甘噛みしてみた。
「ぴゃ・・・・・・!」
 ぴくり、と敏感に全身を震わせてから、エドはその刺激がきっかけになったのか、ゆっくりと薄目を開けた。
「あれ・・・・・・ふぇいふぇい?」
「あら。目が覚めたのね。おはようエド。気分はいかがかしら」
「うん、おはようふぇいふぇい。あれ。なんだかふわふわしてる」
 寝惚け眼を擦りながら、エドぼんやりとしたままはフェイを見上げた。フェイはエドを組み敷いたままだ。
「あれれ? エドどうして裸なの? それにフェイフェイも裸。もしかして・・・・・・お医者さんごっこ?」
「違うわ」
「それじゃあ誘拐ごっこ? フェイフェイ、悪者の役?」
「そうね。それに近いかもね」
 フェイは目を細めると、エドの細い顎を人差し指で持ち上げた。寝起きでどこかぼんやりしたままのエド。だから唇を交す事は簡単だった。驚いたエドは思わず目を見開くが、フェイはお構い無しに自分の舌をエドの中へと挿入し、口内をしつこいくらいに舐め上げ、自分の唾液を喉の奥へと注ぎ込んだ。しかしエドはなすがままで、フェイの唾液を喉を鳴らして飲み込んだのだった。恐らくパニックに陥っているであろう。調子に乗ったフェイはエドの乳房をやんわりと揉みしだくと、爪を立てて乳首を軽く摘まんでみた。
「んみゅっ」
 フェイに口を塞がれているために、エドはくぐもった悲鳴を上げて、そしてフェイから顔を背けた。にゅる。フェイの舌がエドの鼻先を掠めた。エドは息を荒げ、まるで自分の身体に何が起こったのか判らないように、くてっと身体の力を抜いたまま、目を白黒させている。
「どう? 気持ち良かった?」
 腕を組み、婉然とした笑みを浮かべたままのフェイの問い。エドは暫く無言でフェイを見つめていたが、首をふるふると横に振った。
「なんだかわかんない。じーんって、痺れたみたいだった」
「その痺れはね。慣れてくると、とっても気持ち良くなるのよ」
「・・・・・・そうなの? 気持ち良いの?」
「そうよ」
 そしてフェイはもう一度、エドに口付けを求めた。気持ち良いこと。そのキーワードが効いたのだろうか。微かに身を固くしたものの、エドも逃げはしなかった。再度交されるディープなキス。フェイの舌はエドの舌へと強く絡み付き、エドは唇の端から涎を垂らしながら、その愛撫を受け入れたのだった。
 たっぷりと5分は舌を絡め在っていただろう。大きな溜め息と共に、エドはフェイの唇から顔を引いた。
「ふぁ・・・・・・」
「どう? 気持ち良くなったかしら」
「なんだかむずむずするー」
「へぇ。どこがむずむずするの?」
「んー。よく判んない」
 くったりと床に座り込んだエドは、目を潤ませ息を荒げながらフェイを見つめた。フェイは口元に笑みを浮かべてから、そんな、普段のエドからは想像も付かないくらいに可愛らしい少女エドを優しく抱きしめた。そして、エドの細い首筋に舌を這わせる。そこは微かに汗の味がした。
「判らせてあげるわ。これからたっぷりとね」
「エド、気持ちいいこと嫌いじゃないよ?」
「素直でいい子ね。なら、これはもういらないわね」
 フェイはエドの手首に嵌めておいた手錠を解除すると、
「それじゃあ横になって。大丈夫よ、痛い事はしない。約束するわ」
 微笑みを浮かべながら耳元に囁くと、エドはうん、と小さく頷いたのだった。
「横になったら足を開いて。そう、そのままじっとしているのよ」
 フェイの言うがままに床に横になったエドは、はい、と元気良くM字型に大きく足を開いた。恥じらいってモノが無いのかしらね、フェイは苦い笑みを浮かべながらエドの股の間に身体を入れ込むと、もう一度エドと、今度は軽い口付けを交す。フェイはエドの小さな唇を丹念に舐め上げながら、右手をエドの亀裂へと下ろしていった。そこはまだ乾いてはいたが微かに熱を持ち、薄い皮の上からでも、淫核が微かに固くなっているのが感触で判る。
「ん・・・」
「此処を触られると、どんな感じ?」
 エドの真一文字に結ばれたスリットを人差し指の腹で丹念に、それでいて優しく愛撫しながら、フェイはエドの表情を観察する。エドは微かに眉を寄せ、時折熱い息を吐き出しながら、小さく身をよじった。
「んーと、なんだか頭の中がふわーってする」
「そう。なら、此処はどう?」
 薄い皮の上から、微かに固さを増し始めている小さな淫核。フェイは自分の唇を舐め上げてから、エドの股間に顔を寄せた。小便の匂いと共に、微かな牝の匂いが鼻孔を充たす。フェイは唾液に濡れた赤い舌を使い、もっとも敏感である筈のソコを、ぞろり、と舐め上げた。
「やんっ!」
 反応は思っていたよりも上々だった。エドはフェイが聞いた事も無いような甲高い悲鳴を漏らすと、フェイの頭を両手で強く押さえ付けた。フェイは妖艶な笑みを浮かべると、今度はスリットから淫格までを大きく舐め上げた。すると更に頭を押さえ付ける手が強くなり、エドの口からは熱い息と共に大きな声が上がった。
「やっ、やっ!」
「ふふ。ねぇ、気持ち良いでしょ」
「ふみゃっ、ゾクゾクするよぉっ!」
 赤く火照った舌を使い執拗に舐め続け、そこがフェイの唾液でベタベタになる頃には、エドのそこは徐々に綻び始めていった。そしてエドのふとともが微かに痙攣を帯び始めた時、フェイの舌の上に、とろりと熱い、白く粘りを帯びた液体が零れてきた。それは紛れも無い、エドの性器から零れ落ちた愛液だった。
「ん・・・・・・苦」
 フェイは初々しさと苦みの混じった愛液を舌で拭い取ると、僅かに開かれたラヴィアから覗く膣内へと、僅かに舌を差し込んだ。
「あぁ!」
 ただそれだけで、エドは甲高い悲鳴を上げると共に背筋をピンと伸ばし、フェイの頭を抱え込むと華奢な体を大きく震わせた。同時にフェイの差し込んだ舌が、きゅきゅ、と締め付けられる。どうやらエドは、たったあれだけの愛撫でオルガムスへと達してしまったらしい。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「どう。気持ち良かったでしょう?」
「んー・・・・・・わかんない」
 ぐったりと脱力したエドはペタリと床に寝転び、目を空ろに泳がせて、肩で荒い息をついた。フェイはそんなエドに覆い被さると、唇を触れさせるだけのキスを繰何度もり返した。
「ねぇ、エド。自分ばっかり気持ち良くなったら駄目じゃない。ほら、あたしも気持ち良くさせて欲しいわ」
 エドの呼吸が整ってきた所でフェイは上体を入れ替えると、密で溢れかえった自分の性器をエドの唇に押し付けた。俗に言うところの69という奴だ。
「フェイフェイのも、エドが舐め舐めしたらいいの?」
「そうよ、今あたしがあなたにしてあげた事、それをあたしにもして欲しいのよ」
「はーい。エドがフェイフェイも気持ち良くして上げるねー」
 エドは舌を伸ばすと、既に白濁した愛液に濡れたフェイの性器を、まるでソフトクリームを舐めるような大きな舌遣いで嘗め回した。
「んー、変な味ー」
「んっ・・・・・・我慢しなさい」
「はーい」
 それは愛撫と呼ぶにはあまりにも稚拙で、けれど既に性感が高まっていたフェイにとっては、ちょうど良い刺激だった。しかもまるっきり素人がする事だから予測も付かない。
「そう、じっくりと舐めてちょうだい・・・・・・あんっ!」
 だからエドの舌がフェイの剥き出しの淫核を偶然捉えると、唐突に訪れた快感に、フェイは身体をぶるりと震わせた。こちらも負けてはいられない。フェイは唇を舐め上げると、既に乾き始めているエドの初々しい性器にむしゃぶりついた。
「にゃ、きゃあ!」
「ほらほら、手を止めないの。休んじゃあ駄目なんだから」
「でも、身体が痺れて頭がぱーってなって、ぶるぶるしてすごく変だよー」
「ちょっとは我慢しなさい。ほら、いくわよっ」
「やっ、あっ、あーっ!」
 エドは短い悲鳴と共に、フェイの下で、身体をピンと伸ばすと勢いよく淫らに身体をくねらせた。フェイがエドの淫核を甘噛みしたからだ。そう、どうやらエドはまた絶頂を極めたらしい。それでもフェイは手と舌で執拗にエドを責め立て、エドは続けざまに絶頂の高みに上り詰めさせられる。
「やんっ、うぁぁんっ!」
「もう。もうちょっと我慢してくれないと。あなたちょっと感度良すぎよ」
 呆れ顔のフェイは、自分の下でびくびくと体を震わせ、放心状態のエドの唇にキスをしてから、ゆっくりと身体を起こした。
「まぁいいわ。まだまだ時間もあるし、もっともっと可愛がってあげるから」
「ううっ。エド、もう駄目なのらぁ」
 ろれつの回らない声で、エド。未だにその身体は、生れて始めて味わう激しい快感の余韻に小刻みに震えていた。まるで小動物の様なその可愛らしい姿に、フェイの性欲は嫌が応にも炙られる。この可愛い少女を、もっとイカせて、もっと泣かせてやりたい。
「あなたはもう満足したかもしれないけど、あたしは一度もイッてないのよ。我が侭言うんじゃないわ」
「うー、フェイフェイは意地悪だよぉ」
「黙りなさい。ほら、今度は身体を入れ替えましょう。あたしが下になるから、エドは上にまたがって」
「うー」
 フェイの腕に捕まれて、エドはなんとか痙攣する身体を起こした。
「いい? 今度はあたし、あなたに何もしないから。あなたはあたしを気持ち良くする事だけを考えて」
「またフェイの、舐め舐めすればいいの?」
「ええ。ほら、此処よ。此処をいっぱい舐めてちょうだい」
 くぱぁ。フェイは両手を使って自分のラヴィアを開くと、そこから零れ落ちるねっとりとした淫液をエドに見せ付けた。
「あと、此処の穴にも舌も入れて。それとクリトリス・・・・・・この上にある奴もね。ここも舐めて欲しいの。でも、噛んだりしたら駄目よ。加減が難しいんだから」
「はーい、それじゃあ、舐め舐め開始ー」
 エドの愛撫はどこまでも純粋だった。言われた通りにフェイの陰部を舐め回すと、フェイは襲い来る甘い刺激に眉を寄せ、小さく喘ぎ声を漏らす。しかしまだまだ物足りない。フェイが自らで淫核の皮をめくり上げると、エドも判ったのだろう、そこを重点的にしゃぶり始めた。
「んっ、いいわ。そこ、もっと舐めて!」
 フェイの言われるがままに、エドはフェイのクリトリスを愛撫し続けた。
 そして絶頂は、思っていたよりも早く訪れた。
「えへへ、フェイにも仕返しー」
「なっ、あああっ!!」
 それは甘噛みなんて易しいものでは無い。エドはフェイのクリトリスを、ぎり、と噛み締めたのだ。予期していなかった尋常では無い強い刺激に、フェイは大きく身体を仰け反らした。そこへきて、更に追い討ちをするかのようにクリトリスを激しく舌で刺激され、フェイは瞬く間に絶頂へと放り出されたのである。
「駄目っ、駄目、いくわっ、うぁぁぁっ!!」
「これでエドとお相子だねー」
 ぜいぜいと息を吐き、床の上に寝転びぐったりと脱力したフェイに向って、エドはえへへ、と笑顔を浮かべたのだった。あれだけ噛むなって言ったのに。しかもあんなにもきつく。フェイはおもむろに身体を起こすと、けらけら笑うエドの頭を思いっきり小突いたのだった。


「エド?」
 賞金額55万ウーロン。たいして高くも無い賞金首を追うための地球への航行途中、フェイ・ヴァレンタインはビバップ号のメインルームのくたびれたソファーにだらしなく寝転びながら、左手の爪にマニュキュアを塗っている最中だった。
「知らないわよ。さっきまでそこで・・・・・・」
 露骨に眉を寄せて。フェイは自分に声を掛けてきた男、ぼさぼさ頭にだらしないスーツ姿のビバップ号の疫病神、スパイク・スピーゲルに顔を向けた。
「犬と遊んでいたんじゃないの」
「それが見当たらないんだよなぁ。ったく、飯時だってのにどこ行きやがったんだ?」
「あの子がどうかしたの? どうせ放っといたって、その内にご飯の匂いにつられてやってくるわよ」
 やはり人差し指のノリが悪い。爪が合わないのだろうか。舌打ちしながら何度も塗り直しなおす。
「もしかして急用なの?」
「ああ。ちょっとばかり賞金首の事で調べてもらいたい事があったんだが・・・・・・。しかたない、ジェットを当るか」
「はいはい、いってらっしゃいー」
 ひらひらと手を振るフェイを横目で一瞥してから、スパイクは軽く息を吐くと、メインルームを出ていったのだった。
「ねぇ、スパイク行った?」
 ひょこ。ジェットの足跡が遠ざかるのを確認したのか、向いのソファーの下から顔を覗かせたのは、スパイクが探していた(自称)エドワード・ウォン・ハウ・ペペル・チブルスキー4世、つまりはエド本人だった。隣で一緒に顔を出しているのはアインシュタイン、通称アイン。フェイよりも先にこのビバップ号に居着いている、人語を解する頭の良いウェルシュ・コーギーだ。
「ええ。ほら、隠れん坊を手伝ってあげたんだから、ちゃんと感謝しなさいよ」
「うん。ありがと、フェイフェイ!」
「わっ、こらぁ!」
 塗りにようやくひと満足し、塗料の小瓶の蓋を閉めて爪に息を吹きかけているトコロで、いきなり飛び跳ねて首元に抱き付いてきたエド。不覚にも大きくバランスを崩し、ソファーの上でエドに組み拉がれたフェイは、思わずひきつった悲鳴を上げた。
「ああもうっ、今大事なとこなんだからくっつくなっていうの!」
「えへへー。フェイのおっきな胸にすりすりー」
「あんたってば、一つも成長しないのね・・・・・・」
 フェイはやれやれと肩をすくめると、そのままエドの着ていたシャツを大きく捲り上げた。やせ過ぎだろう褐色色をした華奢な肌が露になり、そしてフェイの目に飛び込んできたのは、あれ以来、微かに膨らみを増したエドの乳房だった。
「ねぇ、エド。今晩しよっか」
「なにするのー?」
「そんなの決ってるじゃない」
 頭を掴み、強引にエドの唇を奪う。そして互いに舌を絡め会う。
「こーんな風に、気持ち良い事よ」
 そしてフェイは、口元に妖艶な笑みを浮かべたのだった。