「雄介の幸福なる受難の日々」


 大学入試が目前に迫っているというのに、伊藤雄介は部活動に余念が無い。
 剣道部主将。それが雄介の高校での肩書きであり、実績でもあったからだ。
 実家が道場を営んでいるおかげで、雄介は幼い頃から父に鍛えられ、剣道の腕は正に一流であった。若い頃から各大会に出ては優勝、準優勝を収め、高校3年目にして出場した県大会では惜しくもライバルに敗れ準優勝。体調不良でインターハイ出場こそ逃したものの、それでもその数ある実績は大学に高く評価されており、見事推薦入学の権利を得た訳である。
 そんな訳で、卒業間近のこの時期になっても雄介は剣道部に通い、剣の修行に明け暮れていた。
 ただ、最近。そんな日常が崩れつつあった。
 転校生、神無月燕の登場である。
「よろしくね、雄介」
 そう、彼が童貞を捧げた、近所の神社の神様その人 (神) である。
 元旦の朝に、近所の神社の賽銭箱に5円玉を放りこみ、可愛い女の子とご縁があるように、そう願いを掛けたことが全ての始まりだった。それがまさか、こんなカタチで縁が結ばれようとは思いもよらなかった雄介である。
 そんな燕は高校3年目の1月に突如転校生として雄介の教室へ現れると、強引に雄介の隣の席に陣取り、あまつさえ雄介の所属する剣道部のマネージャーにまでなってしまった。しかも彼女はソレを明らかに楽しんでいて、既に学園広と言え二人の恋仲を誰もが周知の事実なのである。そりゃあ毎朝一緒に手を繋いで登校、しかも愛妻弁当を毎日作ってくれば、それもしかたが無いであろう。第一、燕は超が付くほどの美人なのである。雄介もまんざらではなかったのだ。
 しかし、事はそれほどまでに単純ではなかった。
 そう、神社を毎日のように抜け出す放蕩神様を、神主が放っておくはずが無いのだ。
「燕様!」
「どうした、響子」
「どうした、響子、じゃありません!」
 社の中。高校のブレザーに着替えた燕の耳に、天野神社の神主である柏原響子の叫び声が響き渡った。
「毎日毎日下界の者と戯れて……もしこれが大神様に知られたらどうなさるおつもりですか!」
「知れたこと。無視だよ、無視」
 しれっと言う燕である。
「父上も私が退屈しているのは知っているはずだしね。何も言ってはこないよ」
 さてここで、燕の父親のことを少しばかり説明しておかねばなるまい。燕が守護しているこの神社の大元の神は天野大神之氏は、そこそこに名の知れた土地神である。主に豊饒を祭る神として崇められており、この天野神社のほかにも20もの社を持つくらいなのだから、その力はなかなかに侮れたものではない。で、そんな天野大神之氏の娘が何故こんな辺鄙な土地の社に祭られているかと言うと、それは燕の我侭で他ならなかった。面倒事が嫌いな燕は、わざわざ辺鄙なこの社に祭られることを望んだのである。
 で、退屈な毎日に痺れを切らしたちょうどその頃に現れた伊藤雄介に、ちょっかいをかけることを思いついた訳である。しかしそのちょっかいがまさかこんなにも長く続くとは。燕は余程に雄介のことを気に入ったのだと見る柏原響子であった。
 柏原響子、18歳。170cmの長身を生かし薙刀を嗜む、雄介と同じ学校に通う女性である。腰までの長い髪をポニーテールで結び、まるで見る相手を切りつけるようなきりりとした瞳からは、高潔さとプライドの高さが伺える。そんな響子は巫女服の腰に手を当てると、はぁ、とため息を漏らした。
「まったく……怒られても知りませんよ」
「そういえば響子も雄介と同じ高校に通っているんだよね。せっかくだし一度会ってみないか?」
「一度も何も、雄介さんとは友達の間柄ですっ!」
 唾を飛ばして響子。その剣幕、尋常ではない。
 つまりは響子も雄介を狙っていたのである。それと言うのも、雄介には多くの隠れFANが存在していたのだ。剣道部主将にして数々の実績、そしてなんといっても母性本能をくすぐる童顔なマスク。今まで雄介に彼女が出来なかったのは、陰で多くの抗争が張り巡らされていた結果なのである。
 それを横から掻っ攫って行ったのが自らが務めるご本堂の神様だというのだから、響子にしてみればたまったものではない。文句のひとつも飛び出すと言うものだ。
「とにかく。お戯れもそろそろ終わりにして頂かないと、私にも考えがありますからね」
「父上に報告するの? あはは、きっと無駄だと思うよ。父上は私に頭が上がらないから」
「それでも! 私には報告する義務があります!」
「はいはい。じゃあ私は学校にいくね。響子も早くしないと学校に遅れちゃうよ」
 歯牙にも掛けないといった体で社を出て行く燕の後姿を、響子は恨めしげに見送るのであった。

 雄介は最近の昼食を常に屋上で取っていた。別に食べるだけならば教室でも学生食堂でも構いはしないのだが、さすがに美人の彼女を連れて人前で堂々と愛妻弁当を広げるほど、彼も馬鹿ではない。
 そんな訳で雄介は今日も燕と共に屋上に足を運ぶのだが、今日に限ってはそこに待ちうける人物が居た。そう、柏原響子。燕の治める社の若き神主である。ちなみにどうして彼女のような高校生が神主をしているのかについてだが、それは彼女が母子家庭生まれであり、母親を早くに無くしていることがその大きな理由であった。彼女を育てた祖母が本来の神主なのだが、最近腰を酷く痛め、もっか自宅療養中なのである。
「率直に言います。彼女と別れてください」
「は……」
 顔を付き合わせていきなりそうのたまった響子も響子である。
 しかし、燕も負けてはいない。
「嫌。私、雄介のことが気に入っちゃったもん」
 突然の友人の登場に呆然とする雄介の腕を掴み取り、あかんべーをする燕。その仕草にぎゅ、と唇を噛み締める響子。しかし意固地になるのをなんとか堪えると、
「雄介さんはご存知とは思いますが、燕様は私の御仕えする神社の神様でございます。神様は常に社にいてもらわなくてもならない義務があるのです。それは、雄介さんにもお判りいただけますよね」
「まぁ、そういうもんなんだろうけど……」
 唐突にそんな会話を振られても、もとよりただの高校生でしかない雄介がなんとも言える訳が無い。しかし響子は正にそこに意を得たりとばかりにに頷くと、雄介の腕にすがったままの燕をびしっと指差し、
「ですから燕様。今すぐ社に戻りその任を全うしてください。これは父上様からの直々のお言葉なのですからね」
「嘘よ。あの父上がそんな事を言う筈が無いわ」
 燕は相変わらず飄々としている。
「で、響子の本音は? 狙っていた男の子を私に寝取られて、そのあてつけに来たってところなのでしょう?」
「ちっ、ちが……!」
 燕は悪戯っぽい笑顔を浮かべると、
「ねぇ、雄介。知ってた? この子ね、雄介の事が好きなんだよ」
「わぁぁぁっ!」
 悲鳴を上げてももう遅い。燕の言葉は雄介の耳にしっかりと届いていたのである。
 これにはさすがの雄介も驚いた。雄介と響子が出会ったのは高校1年、夏場の合同合宿の折。そこでちょっとした痴漢騒動が起こり、響子は不覚にも下着を盗まれたのである。すったもんだの挙句にその痴漢を捕まえたのが雄介であり、それ以来、響子は雄介のことが好きになってしまったのであった。そして告白する勇気も無いまま3年間。2人は部の主将同士、そして友人と言う関係で結ばれ続けてきたのであった。
 だから、燕の爆弾宣言に、さすがに雄介も唖然とするしかなかった。
「ほら、いい機会だし告白しちゃいなよ。でも振られるかもね。あははははっ」
「……つーばーめーさーまー」
 乙女の恋心を踏み躙られ、響子の怒りは一気に燃え上がった。
「たとえ神と従者の身とは言え、許せることと許せないことがございます……」
「じゃあ」
 燕は笑みを浮かべたまま、
「私と1戦交えてみる?」
「くっ!」
 響子は地団駄を踏んだ。勝ち目など端から無いのだ。いかに響子が薙刀を扱うに長けた人間で有れ (響子はインターハイで準優勝と言う快挙を成し遂げている)、相手は神なのだ。しかも自分の薙刀の師匠でも有る人 (神) に勝てるわけが無い。
「ねえ、雄介」
 顔を真っ赤に差せて怒りに身体を振るわせ続ける響子をよそに。燕は雄介の腕から身体を離すと、その端正な顔に意地の悪い笑みを浮かべて見せた。
「響子を抱いてみたくない?」
「なっ」
 さすがの雄介も、この言葉にはいたく驚いた。
「そんなっ。柏木さんがいくら俺のことが好きだったからって、そんないきなり……」
「じゃあこうしようよ。ねえ、響子。勝負して、私が負けたら雄介から離れてあげるよ」
「そんな! 私が燕様に勝てるはずが無いでしょう?!」
「戦う前からそんな事を言うなんてあなたらしくもない。それに、薙刀での勝負では無いよ」
 燕はその赤い唇をぺろりと舐め。メス猫のような艶美な表情をその顔に湛え、言った。
「先にいかせたもの勝ち。SEX勝負よ」
「なんだって!」
 これに驚いたのは響子ではない、雄介である。
「そんな、柏木さんにそんな無茶な事をさせる訳にはいかないよ!」
 しかし響子はその提案に頬を引き攣らせはしたが。
「……いいわ。でも約束ですよ。私が勝ったら雄介さんと別れてもらいますからね」
 もうこうなればヤケのヤンパチであった。響子は頷いたのである。
 そして、不毛な勝負の幕が下ろされたのであった。

 さて、勝負とは言えSEX未経験、正真正銘の処女。そんな響子にはハンデがありすぎた。なにしろ育ち柄、男性器すらまともに見たことが無いのである。勝負など端から見えていたのだ。だから燕はハンデを無くす為に1つの条件を響子に与えたのである。
 勝負の内容は燕と響子のイカせ合い。そしてその条件とは、5本に1本でも燕をイカせることができたら響子の勝ち、というものであった。立会人は、もちろん雄介である。
「5本に1本なら、なんとかなるでしょ?」
 社の中で。既に裸になった燕の言葉に、響子は小さく頷いた。
「もちろん自慰くらいはした事あるよね」
「っ……」
 からかい気味の燕の言葉に顔を背ける響子。それがYESを現しているのかNOを現しているのか。雄介にすら簡単に判ってしまう程に露骨な反応を見せてしまう響子であった。
「ほら、早く服を脱ぎなさいよ。それとも服を着たままする方がいいの?」
「わかっています!」
 言われるがままに制服に手を掛ける響子。まずはブレザーを脱ぐと、足元に二つ折りにして置いた。ウエストのホックを外し、ファスナーを下ろして脱いだスカートを床のジャケットの上に重ねると、響子は下着姿になった。上品なデザインのパンティーとブラジャー。響子はそこで一旦手を止めて、2人の顔色を伺った。燕は意外と無表情にこちらを眺めている。雄介は、顔を赤らめつつも自分のこのはしたない姿を見つめている。その視線を感じると自然に肌が熱くなる。しかしこれも、燕の、そして雄介の、更には自分の為なのだ。そう自分に言い聞かせて、響子は一気にブラジャーとパンティーを脱ぎ去った。
 響子の身体は着痩せするのか、歳相応以上にボリュームがあった。胸など燕の倍近くはあるだろう。そしてくびれた腰に、肉厚的なヒップ。もしここが海水浴場であれば、多くの男達の視線を一人占めしていたに違いない。
「それじゃあ早速始めようか」
「っ……うむむっ!」
 抱きしめられる。そして口を閉じさせる暇も無く濃厚なディープキス。端から勝負は見えていたが、これで主導権は決まったも同然だった。
 口内を執拗に嬲られ、響子は満足に息も出来ない。舌を絡め取られ、唾液を流し込まれる。それは何故かとてつもなく甘く、響子の漫然たる意識と決意をどろどろに溶かしていく。
(駄目……このままじゃ……)
 一方的過ぎる。響子は反撃しようと自らも激しく舌を絡め合うが、所詮は素人の技である。
「ん……んんんんっ!」
 あっけなく口内の攻防だけで、軽いエクスタシーを味合わされるに至ったのであった。
 力を失った響子の身体を床に寝かせると、燕はその顔に神とは思えないほどの悪魔的笑顔を浮かべ、舌なめずりをした。楽しくてしょうがない、正にそんな感じである。
「おい、燕ちゃん。相手は響子ちゃんなんだから……」
「そんなこと言って、雄介も本音は響子ちゃんとしたいんでしょ?」
「うぐ」
 本音をずばりと言い当てられ、雄介は言葉を失った。そりゃあ雄介も男である、このような展開でそれを期待するな、というほうが無理であった。しかし、まだ理性が勝っていた。
「少しは手加減してあげなよ。響子ちゃんは素人なんだぞ」
「嫌よ」
 そして白い首筋に舌を這わせる。燕は唾液のラインを絶妙に響子の肌に伝わせながら、その豊満な乳房を優しく揉みし抱いた。
「っあ……」
「ほうら、ここが感じるんでしょう?」
「あっ」
 ツンと尖りを帯びた乳首を指で抓まれ、響子は大きく身体を震わせた。
 それに満足したのか、燕は響子の乳首を口に含むと、執拗にそこを攻めあげる。もちろん片手で反対の乳首を丹念に刺激することも忘れはしない。次第に響子は声を堪えることも忘れ、悦に入った嬌声を社に響かせ始める。
「そろそろいいかなっと」
 燕は響子の足を広げようとするが、ここであっさりと秘部を晒す訳には行かない響子である。もちろんそこは既に愛液ではしたなく潤ってはいたが、なんとか足を閉じようとふんばる。しかし燕がひとつ響子の乳首を甘く噛むと、響子の意識とは関係無く、体に力が入らなくなってしまう。
「ああっ、駄目……あああっ!」
 燕の動きは猫のように素早かった。強引にこじ開けた股の間に両足を差しこむと、響子の秘部を指でなぞり上げた。その指についた濃厚な愛液をぺろりと舐め、にんまりと燕。
「あーあ、はしたない。響子のここ、もうべとべとだよ」
 雄介に聞こえるようにわざと声を高くしてそんな事を言う。事実なだけに、思わず両手で顔を覆ってしまう響子であった。
 燕は優しく秘部を愛撫する。まずは指を一本、軽く奥へ差しこむと、指の腹で満遍なく襞を刺激する。その間、響子は燕の執拗なディープキスに翻弄され、ろくに反撃が出来ない。
「ほら、この辺が気持ちいいんでしょ?」
「ああっ、そこ駄目ぇ!」
「響子は可愛いよ。ほら、もっと気持ち良くしてあげる。だから早くイってちょうだい」
「ああっ、ああああああっ!」
「ほらほら、この辺が特に気持ち良いでしょ」
「駄目ぇっ、もう、ああああ」
 クリトリスの裏壁を親指の腹で幾度も擦り上げられ、響子は全身を大きく仰け反らせた。
「あああっ、イクッ、もうイっちゃうぅ!」
「はい、これで一回目」
 きゅ、きゅ、と締め付けてくる肉壁の感触に満足しながら、燕はにんまりと笑うのだった。
 そう、端から勝負は決まっていた。響子に勝てる術は一切無かったのだ。
「ああああっ、駄目っ、もう許してっ、燕様ぁ!」
「ふふふ、駄目だよ。あと2回残ってるじゃない。ほらほら、響子も反撃したら?」
「うあっ、ああん、そこ気持ち良すぎるぅ! もうイクッ、ああああああ!」
 クリトリスを絶妙な按配で舐め上げられ (無論、燕の指は粘液からみつく膣内をいいように弄び)、遂に響子は4度目の絶頂を迎えさせられてしまうのであった。
「さて、あと1回だね」
 冷たい床の上に仰向けに寝そべり、肩で荒い息を吐く響子を眺めながら、燕は微笑んだ。
「どうする? もう、ぱーっと終わらせちゃう?」
「どうして俺に聞くんだよ」
 ちなみに雄介もグロッキー寸前であった。美女2人による淫らな饗宴は、性の経験に浅い雄介にはあまりにも強烈過ぎたのである。やれるものならこの場でオナニーでもしたい雄介であった。
「いやね、このままじゃあ響子も可哀想だから」
 そして半開きの響子の唇に軽くキスをして、
「やっぱり最初は想いの人と結ばれたいモノだよねぇ」
 と、したり顔で頷くのであった。これには雄介、酷く驚いた。
「まさか、最後は」
「響子次第だけどね」
 しれっと言う燕である。
「で、どうする響子。もうこの際だし、雄介君に奪われちゃったら?」
「う……あ……」
 4度もイかされ、既に放心状態の響子。どうやら言葉の意味が理解できていないらしい。
 だから燕は、強引に行く事にした。まずは雄介のジーパンとトランクスを無理やりに脱がす。はちきれそうなくらいに膨れ上がった男根の先端は大量の先走り汁にぬめっていて、燕が亀頭を軽く咥えただけで、それは爆発するように精液を放った。こくこくこく、とそれを飲み干してから、燕は微笑む。
「ふふ。あいかわらず濃いね。美味しいよ」
「くっ……、いきなりだな」
「我慢してたんでしょ? 悪いことしちゃったかなぁってね」
 そして燕は強度を失いかけた男根を、しなやかな指で擦り上げるともう一度その小さな口に頬張った。燕のたっぷりの唾液であっという間に怪しいてかりを帯びた男根は、燕の愛撫によりすぐに強度を取り戻す。
「さーてと。ほら、響子。これが雄介のモノだよ。入れて欲しいんでしょ?」
「ん……」
「ほーらほらっ」
「馬鹿、振るなって。やめろって!」
 放心状態でそんなモノを目前に見せ付けられ、既に許容量以上の刺激を受けていた響子の女の部分が大きく疼いた。疼きは響子の歪んだ思考を更に乱し、本来ならありえない言葉をその口につぐませる事になった。
「ん……欲しい、です」
「はい、これで万時解決っと」
 そこに燕の妙な術が絡んでいたことを知ることになるのは、随分と先のことである。
「響子は下付きだから、交配位の方が感じさせてあげれるよ」
 響子を四つんばいにさせてから、微笑みながらの燕の言葉である。それは本当のようで、確かに燕の秘部よりも下のほうに響子の秘部はあった。その白い粘液に濡れた秘部を目の前に見せ付けられ、雄介の興奮は一気に高ぶった。
「響子の方は準備は万全だから、あとは雄介次第だよ」
「ああ」
「最初はゆっくりとね。散々解しておいてあげたけど、最初はやっぱりかなり痛いと思うから」
 ここらへんの気遣いが、燕の本音なのだろう。なんだかんだと言いながら、やはり燕は響子のことを考えているのだ。ただ、ちょっとばかり茶目っ気が多いだけで……。
「じゃあ本当に行くぞ、響子ちゃん」
「はい、優しくしてくださいね」
 どうやら響子も覚悟を決めたらしい。
 雄介は響子に覆い被さると、男根の先端を花唇に押し当てた。それだけで響子は震えあがり、腰をよじろうとするが、雄介はそれを許さない。亀頭が秘裂に沈むと、
「ああっ」
 儚いうめき声を洩らした。
 処女の響子に対して、雄介はゆっくりと腰を沈めて行く。
「ひっ、いやぁ!」
 巨大な異物の進入に、おとがいを反らす響子。男根がずぶりずぶりと肉壁を突き破り、そして子宮口まで辿りつく。雄介は響子の事を考え、しばらくそのままの姿勢を保った。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
「大丈夫かい?」
「はい、思っていたよりも痛くないみたいです」
 燕の愛撫が余程効いていたらしい。雄介の男根は思っていたよりもあっさりと響子に熱い膣の中へと飲みこまれてしまった。
「じゃあ……動かすよ」
「ああっ!」
 軽く前後に動かしただけで、響子は嬌声を上げる。
「もしかして、感じてるの?」
 燕の声も聞こえないくらいの乱れ様である。その様に気を良くした雄介は、最初こそは控えめに動かしていた腰を次第に激しく叩きつける。
「あっ、あっ、あああっ!」
「響子ちゃん、気持ち良い?」
「んっ、わかんないっ! でも、なんかっ、ああっ、きそうっ!」
「すごい。響子、初めてでイきそうだよ」
「あんっ、本当に駄目。もういっちゃいそうっ!」
「俺も、もう駄目だっ!」
 互いに散々高められていた事もあり、絶頂はあっという間だった。
「駄目っいくいく! あああああああああっ!!」
「くうぅっ!」
 寸前で外に出す雄介。迸る熱い精液は響子の白い背筋を汚し、その熱が更に響子の意識を白く染め上げる。
 その様を隣で見ていた燕はその相好を崩し、喜んだ。
「これで私の勝ちだね」
 と。

 で、結局どうなったのかと言うと。
「響子」
「なんですか」
「どうして私達と一緒に居るんだ?」
 学園の屋上で、3人共に食事を食べる光景がそこにはあった。
「勝負は私の勝ちだったはずだよ。雄介は私のものなんだからね」
「私は雄介さんから離れろと言っただけです。私が離れるとは言っていません」
 結局こうなることは見えていたのだ。雄介は人知れずにため息をつくのだった。
「責任を取ってくださいね、雄介さん」
 満面笑顔の響子に腕を取られ、困る雄介に、
「そんな必要は無いぞ、雄介。だいたい処女の癖にあんなによがっていた淫乱が生意気を言うな」
「いっ、いっ、淫乱じゃありません!」
「まったく。せっかくの老婆心で結ばせてやったのに。これじゃあ逆効果じゃないか」
 頬を膨らませる燕。しかし目は笑っていたのだった。
 正に、これから起きる騒動を楽しむかのように。
 そう、騒動は起こるのである。燕が側に、いる限り……。