HPさくせい「しょうてん」日記
楽団を立ち上げようと有志で初めてあつまった2002年のあの日。
「ほな私が楽団のHP作るわ」と言った私の脳裏には,
「妹にただ働きさせたれ」という安易さでいっぱいだった。
思えば,あの発言がすべての始まりだったとは。

結論から言おう,HPを作り始めて1ヶ月,この作業がおもしろくてたまらない。
しかし私は筋金入りの英語音痴だ。英語表記の「ウイルススキャン」のアイコンを,
私は長らく「ビーナススキャン」と思いこんでいて,いまでもあやうく口に出して
そういいそうになるくらいだ。
そういえば,高校の英語のテストで,「ヴェニス」と「ビーナス」とを読み間違え,
「ヴェニス観光」についての問題文を「金星旅行」をテーマにしたSFものと
勘違いしたりしてたもんな・・・。

とりあえず妹に電話してHPを作ってもらうことにした。いろいろ確認すべきことがある。
「いくらくらいでできるん?」「そんなんタダでできるに決まっとるやん」
「作るのにどのくらいかかるん?」「そっこーでやったら2時間でできるわ」
わたしもあんたも数学バカちゃうかったん?
いつのまに妹はそんなすごい理系人間になってしまったのか。
「まあとにかくまかせるわ。できるだけ早く作ってくれる?
 みんなに見せてチェックしてもらいたいけん・・」

「2時間」と豪語したわりにはややしばらくたって,妹が試作品を送ってきた。なんかしらんけど
私らのためにソネットさんがタダでスペースを使わせてくれたらしい。ありがとう,ももちゃん。
あと,掲示板ってレンタルでできるってこのとき初めて知りました。また,HPはすべて
なんたら言語で書かれているから,なんか好きなページがあったら「表示」→「ソース」を開いて
みといてよ,と妹が言う。

それで,あるページを開いてそのようにやってみたら,たしかにアルファベットがならんでいる。
この事実に衝撃を覚えながらも,ここで「黒い心」がふと頭をもたげ,ソースにある日本語部分を
こっそり改変した。そしてそれを閉じるとき「更新しますか」というメッセージが。
どきどきしながら[Yes]を押す。−−しかしなんにも起こらなかった。
あとで妹にいうと「あほちゃう?そんなことできたら,
他人に勝手にHPの内容書き換えられるやん」と,こばかにされてしまった。

そして,「まだたっくさん直すべきところがあるなあ」と思いながら勉強していたある日,
ふと「あ,そういえばうちのパソコン,最初からHP作成ソフトが入ってなかったっけ?」
と思いついた。それから勉強をそっちのけで探してみると,あったあった,
「ページデザイナー」,これだ!
このパソコンを買ってから1年以上たってると思うけど,ぜんぜん使ってなかったもんな。
これでいろいろやってたら,帰宅した同屋(ルームメートを中国語でこう言う)が
「“中国”音楽ならやっぱりパンダやね!」とあちこちにパンダイラストを貼り付け,
ものすごい様相を呈してしまった。でもとにかくこれで作れそうだと分かったので,
妹に「うちにソフトあったけん作ってみた」というと,「ほんならこっち送って」という。
とりあえずメールに1ページずつ添付して送ってみたけど,うまく見れなかったらしく,
電話がかかってきた。口頭でああだこうだと言われるけど,いかんせん専門用語が分からず,
らちがあかない。「電話代もったいないなあ」「ほなチャットで教えるわ」
「なにそれ?チャットなんてやったことないけど?」
「いーから,まずパソコン立ち上げてみい」
それからは妹の指示通りなんか開いてなんかダウンロードしてなんか入力して,
あれよあれよというまにチャットができる環境になってもうた。
それから,よくチャットで質問したり連絡したりするが,
慣れてないので,妹と話してるとき,知らない人が来たらすごく慌てる。
また,入った時,知らない人がすでにいてたら,即,接続を切ってしまう。
失礼なやつだと思われてるだろうなあ,ごめんなさい。


「このページデザイナーっていまいち使いにくいんだよね」と思いながら勉強していたある日,
ふと「あ,そういえばこの“○太郎”ってHP作成機能とかなかったっけ?」と思いついた。
それからはもう勉強をそっちのけで,HPらしきものを作ってみた。あ,意外と簡単!
ちゃんとリンクも張れるし,思ったよりましなものができあがった。
では,妹の作った試作品の内容をこれに更新しよう,と思って,はた,と気づく。
・・・どうやって更新すんの? 
いま,ここにあるものが,なにをどうやったらあの電脳空間に移動できるのか?
それからしばらくの間,私は“○太郎”という閉じられた空間のなかでのみ存在しうる
むなしいHPを作り続けた。
とにかく,妹が1月に大阪に遊びにきて,更新の仕方を教えてくれるまでの辛抱だ。
妹がなんかどうかしたらこれが日の目をみるようになるんだ・・・と思い,
ひたすら,待った。
(このへんは田口トモロヲの口調で読んで欲しい)

つづく