●寄場崩壊


 寄場の今の情況を見ていると、単に「仕事が無い」というばかりでなく、<日雇>という労働市場の雇用形態自体がもう古くなって、消滅に向っているのではないかという思いにとらわれる。
 これは何も寄場ばかりの変化ではない。あらゆる「世界」で変化が起こっている。ソ連の崩壊、ドイツ統一、自民党の野党化等など私達を取り巻く大情況は大きく様変わりしてきている。今後、80年代の様な、寄場の繁栄が戻ってくることはないだろう。寄場は限り無く縮小に向う。最早、「寄場」というシステムを使って、マクロ経済を調整するような余裕は日本経済にも世界経済にも有り得ない。かつては一握りの国に凝縮していた失業と貧困が全体として上げ底になり世界に蔓延してきている。国家は、あるいは社会は寄場どころではないのだ。私達日雇は今、正念場にさしかかっている季節を迎えようとしている。

 (「寄場詩人43」1994年3号 10月30日より)




●釜ヶ崎の炊き出しを判定する。


 (「寄場詩人41」1994年1号 3月30日より)



haruo iwaki