■角田信朗がパパ


パパおかえりなさいと出迎えると、手には80センチ強の太った魚を持っていた。
今日は大物がとれたとパパは機嫌がよかった。

さっそくさばいて料理しようとなり、鱗をこそぎ落とす。
さすがにでかい魚だけあって鱗もでかい。
鱗はきらきら光って綺麗だった。


わたしは魚の腹に包丁をいれようとするが、なかなか入らない。
パパー、わたしじゃ無理みたいと言うと、のっそり起きあがったパパがざくっと包丁を入れてくれた。
簡単に内臓を取り出すと、ピンポン玉くらいの白い卵の房がいっぱい出てきた
卵の房は一度テレビでみた鶏のにそっくりだった。
パパは卵に付いていた内臓物を綺麗に取り除き、さっと洗った後にわたしの後ろでなにかし始めた。
卵料理でも作る気なんだろう。


わたしはパパに言われたとおり、水を流しながら魚の腹を綺麗にする。
魚のお腹にはもう熟成しきった卵がへばりついていて、なかなか取り除くことができない。
無理に取ろうとするとべりべりと音をたてた。
卵が堅い。


パパは後ろでぐしゃぐしゃと音を立てている。
振り向くのも怖かったので作業しながらパパに聞いた。
そっちはどう?うまくいってる?
パパは笑いながら、固い卵と柔らかい卵があることをうれしそうに説明してくれた。
パパ、卵は潰しているの?
あぁ見るかい?卵が潰れて中からピンクの乳房とお腹が見えているよと。

ぞっとした。
魚なのになんで乳房なんてついているんだろうと思った。


パパは見てごらん、見てごらんと後ろからしつこく言ってくる。
この魚独特の臭いのせいなのかわからないが、なにかがおかしくさせているというのがわかった。
気が遠くなる。



かっこいい角田パパ


おちゃめすぎる角田パパ。




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