「僕たちの出会いは偶然だったのでしょうか」
お茶を入れる手を止め、八戒がふと呟いた。




「必然のお話」




ここは旅の途中にあった町にある、何の変哲も無い……強いて言うならば、小奇麗な宿の一室。
今日は、三蔵と八戒という、なんとも珍しい組み合わせだった。
もちろん、安眠第一と言うのもある。だが、それ以上に二人は恋人同士だ。
たまには相部屋になりたいものである。
まぁ、それはともかく……。



「……今、何って言った」
三蔵が、新聞へ落としていた視線を、机を挟んで向かいで茶を入れる八戒へと向けた。
少し棘の混じる視線に、八戒は一瞬たじろいだ。
だが、それを表面までには出さず、もう一度、ニコリと微笑んで言った。
「僕たちの出会いは偶然だったのでしょうか、と言ったんですよ」
「……くだらねぇ事言ってんじゃねぇよ」
フンと鼻を鳴らして、八戒の問いをバッサリと切り捨てた。
確かに三蔵の言うとおりだ、と八戒も思う。
それでも、偶然としか思えない、と反論しようとした瞬間、唇を三蔵の唇によって塞がれてしまった。
「ん…んん……!!」と声を上げても、三蔵は解放してくれない。
むしろ、だんだんと貪るような深いキスになっていく。
八戒の体が酸素を欲するかのように軋みだした頃、ようやく解放された。
潤んだ翡翠の瞳が、上気した頬が、乱れた呼吸が、三蔵の劣情を煽る。
その姿に、三蔵が満足そうな、半ば妖笑にも似た笑みを零していった。
「必然に決まってるだろう、莫迦」









その後。

「くだらん質問をしたお礼は、後でたっぷりしてもらうからな?」






終われ。




*あとがき*
初めての最遊記BL(笑)
たぶん、一番好きなCPだと思う……(でも58も好き/誰も聞いてない)
短くてすみません、微妙に甘くてすみません。
そして、微妙に裏行きになりそうですみまs(ry)
あー、もっと長めで甘めで三蔵が少しばかし優しそうなのが書けるようになりたい(無理だろ)