欲情

lucifa作

58の裏ヴァージョン。…裏らしくなっている事をひたすら祈るばかり…(T・T)

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この数日。街の街灯が全て消える刻「あいつ」は何も言わずどこかに行っちまう。
どこに行くのか、…何をしているのか…聞けずに俺は…見て見ぬ不利。
ま…朝方には帰ってくるから心配しなくても…大丈夫。
気にする事なんて何もねぇ。
何故ならあいつとは…遊びだから。

――本当にそうなのか?

ただ本気になるのが怖くて逃げているだけじゃねぇのか?
確かに…その方が楽だ。
…本気になった後で嫌われるのが…怖い。
あの目で蔑まれでもしたら…俺は…。

――いつから…こんなに弱っちくなったんだ、俺ゃ。

3年前のあの雨の日…。
全身、傷だらけの「あいつ」を見た瞬間…。

――アイツニ…イカレチマッタノカモシレナイ

血が良く栄える透き通った肌。
口では表現し難い翡翠の美しい瞳。
…男の目からみても素直に美しいと思った。
人が見惚れてるのを良い事に「あいつ」…。
しかも俺をみるなり、笑いやがった。
見るのも偲び難くなるような…悲しい瞳で。

何でだよ…なんで「あいつ」の事ばかり頭にちらつく!?
壁を1・2度、殴り己の腕から流れ出る鮮血を舐める。

「何やってんだ…ばっかみてぇ…」

拳から伝わる赤い雫。
ドアを開き悩みの種が不意に現れを塞ぐ。

「!?何してるんですか!血が…って…悟浄?」

心底、心配してくれてるみたいだけど。
おたくさぁ…その悩ましいやめてくんねぇ?

――イライライライラ…。

誰のせいでこうも頭悩ませてると思ってんだ。
むかつく…頭に来て仕方ねぇ。
どうせ、今の気持ち言葉にしたら、
…蔑まれ出ていかれるに決まってんだ。
そうなるくらいなら…。

「俺のことが心配?お前…俺のことどー思ってるわけ」
「は?…いきなり、何を…!?」

力の限り床に押し倒した。驚き目を見開く八戒を
無視する形で。

「お前、夜な夜などこいってんだよ…」
「!?気づいて…いたのですか…?」

震えたように呟く仕草が愛らしくてつい、
……虐めたくなってしまう。
まだ、俺とは寝た事なかった…な。

「どうせ、男と楽しんできたんだろ?俺とも遊ばない?」
「な…っ…僕…の事そんな目で見てたん…ですか?」

緑の光を放つ眼が…睨んでる。
それでいい。俺を憎め。俺しか見えないように。

――俺に囚われろ…。

カーテンを乱暴に引き裂き彼の手首を縛りあげ、八戒のを口に含む。
部屋中にわざと音が響くよう吸い足を抱える。

「うァ!…アッ…アァ!…ど…うか…して…るっ…」

俺の耳元に聞こえてくるのは、困惑し嗚咽する声。

「ああ、どうかしてる。だったら、何かしてくれんの?」

なるべく、嘲笑うように…冷徹な印象を与えられるよう
思いと逆のことを口ずさむ。

――お前をこんなに欲しても…何も返してくんねぇのね…

肉欲に背くことなく足を周囲にあった、テーブルの上にうつ伏せに
し彼を倒し見下ろす。
俺にぶつかる八戒の…視線。
…一瞬、怯みそうになるが…ハンカチで口と目を縛ってやった。
これで、もう…「こいつ」は身動きとれねぇ。
悔しいのだろうか、涙を流し俺に身を委ねてくる。

――なんか、…調子くるっちまう…

結局、俺はコイツが怖くて酷い事してるだけじゃねぇか…。
無償に己が餓鬼に思えてくる…。

「んっ…くっ…」
「男娼の素質ありなんじゃねぇ〜の?」

…キレそうだぜ…お前を見てると…よ…。頭にくんだ。
いつも俺の全てを見透かすかのように微笑みやがって…。
癪に障るんだ…、俺の事なんとも思ってねぇくせに。

対して濡れてもいない八戒の蕾に、指を3本いれながら内壁を掻き乱す。
経験豊富なのか、すぐ湿ってくる彼の秘所。
舌打を繰り返しながら指をうねるように、動かし高みへと追い詰めていく。
でもそれは、決して快楽を与える為ではなく苦痛を与えるため。
そう、これは抱いてるのではなく犯しているのだ。

――…まだ、たりねぇ…苦しめよ…。

充分、解れた彼の中を乱暴に貫く。

「んんーーっ!!く…ふぅ!!」

首を左右に振りながらもがく彼。
痛みを伴なっているのだろうか。

――良い格好〜だ、ことで…写真に納めてぇくれぇだ…。

泣き声は充分すぎる程、俺の心に届いた。
彼の声を…八戒の声を聞きたい。

「お前って…ほんと、嫌な奴…。俺をいっつも一人にして出てってさ…」
「う…ぅ…ご…じょ…う…ぼく…は…ただ…しご…としてた…だけで…すっ」

泣き喚く事もせず静かに涙を流す彼の姿に…胸に鈍い痛みが走りやがる。
何なんだよ…俺よりも仕事がいいのか…。

「ふーん?仕事、ねぇ?」

一際、力を込めて深々と突く。
卑らしい響が増すにつれ激しくなる律動。
悲鳴にも似た八戒の吐気が男の欲動を掻き立てる。

「ァ!…ッ…い…して…る……あなた…を…あい…して…る…!」

――イマ…ナンツッタ?

何だよ、体かさねて頭がどうにかなりやがったか?

「嘘吐きはなぁ〜んの始まりか…しってんのかなぁ?八戒さ〜ん。」
「う…そじゃ…あり…ません…し…ごと…はじ…めたのは…!」
「ぁあ?」

わざと怒った口調でうなってみる。
どこまで、俺…嫌な奴なんだか…な。

「…っ…あ…なたと…いろ…んな…ばしょ…に…いき…おもいで…つくりた…かったから…っ…だから!!」

滅多とない感情を剥き出しの八戒。
調子狂っちまう…。
思い出がほしい?だったら最初からそういやー良かったじゃねぇか…。
相談しないで、やるからひでぇことしちまった…。

「馬鹿な奴〜…そんな事で仕事してたっつーの?」
「ひ…どい…ひ…と…」
「…どっちがだよ。」

先程とは打って変り穏やかな声で呟く。
手足を縛っていたもの、全てを取り除き彼に優しくキスを繰り返す。
相当、涙で泣き腫らしたのか目元が赤い…。

「ごじょ…う…ごじょう…」

安堵したのか、更に目許を潤ませる可愛い恋人。

「思い出がほしーなら、俺から離れんな…」

苦笑しつつ角度を変えながら幾度も最奥を突き、
互いに果て八戒の中に己が放ったものを注ぎ込む。

「くぁああああああ!!」

何度目かの絶頂を向え反る彼の体。
愛しいと今なら素直に感じることが出きる。
こいつは俺を裏切らない…。
確証はないけれど、信じてみようと思う。
彼が俺を見ているうちは。

「愛なんて信じたくなかったのに、責任とれ…よ」
「そういう貴方も、ね…」

全身が痛むはずなのに、相変わらずむけてくる微笑。
俺だけに向けてくれる…最高の笑顔を今日はじめて見た気がする。

俺達の思い出は…これから組み立てていけばいい。
そう、2人の時は動き出したばかりなのだから。

FIN

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