2001.02.15 (ヴァレンタイン企画小説)
形成恋慕
Rushifa作
〜フェイ・サイド〜
好き…好き…大好き… 俺がドキドキしたり…冷汗かいたりする相手といえばただ1人だけ。 いつも冷静なくせに俺のことになると本当の保護者以上に口五月蝿かったり纏わりつくんだ。年に1度のこの聖なる時…ユグドラ内で、騒いでばかりいるあいつ…バルトを払って俺は御菓子の本をパラパラひろげる。
去年、始めて渡したヴァレンタイン・チョコ。出来はともかく、先生が喜んでくれたからいいものの…うーん。今年はどうしようかな。義理チョコ…本命チョコ、ちゃんとわけておかないと親父さんやビリーが太くされる。親父さんはともかく、ビリーまで何で拗ねるのか、俺には分からないけど今年はチョコレートあげようと決めた。それにしても、何で平和になった今、ここにいるんだろう。本来、先生の家で二人きりで過ごすはずだったのに。誰にもさとられぬよう、肩を落す。
今日、ヴァレンタイン・デー。恋人達の日であるはずの1日…。俺の親友はユグドラシルで晩餐会を開こうと徴集をかけた。何で今日なのか極めて謎だが、断ろうにも断れず先生と俺はデウス戦後、はじめてこの戦艦に戻る。懐かしさとほろ苦い思い出が詰まったこの空間。ユグドラについたという安堵感とは裏腹にいきなりラムサスの痴漢攻撃。勿論、先生にハエタタキにされたけど。なんだか、イメージが狂う。彼とは武術を通じて今までの蟠りを解消した。相手が精神的に大人だったというのが本来の表現かもしれない。ドミニアをはじめ、エレメンツとの和解も成立し今やエリィと共に世界の復興に尽力を尽くしている。平和だな、と実感つつ俺は去年同様、メイソン郷に相談をもちかけチョコレートつくりを開始する。
――去年はチョコケーキ系だったから今年はショコラにしようかな。
ボール片手にカシャカシャと音をたてながら混ぜる。女みたいとは内心、反省しつつもやはりチョコレート作りは楽しい。30分すぎた頃だろうか、そろそろ完成というところでメイソン郷に話しかけられた。
“あの2人をどうかしてくだされ。”っと。
まー、余りにも予想通りの展開に少しがっくりきながらもバルトのことを思うと、俺も黙ってはいられない。
…ここは、いっちょ親友が手をかすか。
バルトは俺と知り合った頃“シグには惚れるなよ”とくどいほど忠告してきた。その時、彼の気持ちを直感して以来、俺はみてみぬふりをしようと決め込んだ。相談されても受け流しバルトの意思を尊重しようとしたんだ。…だけどそれは逆に親友を泣かせるだけだった。
“…シグルドさんも少しは気づけばいいのに。” “先生みたいにはいかないとは思いつつもバルトがあんまりだ。” “俺と先生のヴァレンタイン・デーの代償…覚悟しろよな”
誰にも気づかれぬよう1人で悪巧みを企てて行く。
これで完璧…………………なはず。
俺の考えが伝わったのか伝わらずか先生が不審気に俺を見る。先ほどまで、医務室にいたくせに。メイソンさんのバーにいきなりきてこれだ。 “………白状なさい” 余りにも単刀直入すぎて悪寒すら感じた。数メートル離れた部屋の中でも気持ちは通じるというのだろうか。冷汗をかきながら、俺は項垂れ全てを打ち明ける。俺なりに一生懸命に考えた悪巧みを先生は含笑し“私も参加します”といい俺が作ったばかりのチョコを頬張る。喜んで良いのか、悲しむべきか胸中複雑の俺はバルトのことで頭が一杯だった。俺にとって彼は…同じ年で唯一、先生いがいで全てを打ち明けられる相手…。大事でないわけがない。……幸せになってほしい。晩餐会の意図をひしひしと考えると胸が疼く。先生は少々、むっとし俺の頬を抓る。……………妬いてくれているのだろうか。 「フェイ、彼らのことも心配ですが今日はヴァレンタイン・デーですよ?…貴方と私の為にあるような1日なのに…少し妬けちゃいます。」 「………ごめん。だって、さ。俺達にとっては親友じゃないか。心配なんだよ。」 俯きながら呟くとシタンは優しく抱き締めてくれる。…かなり嫉妬してるくせに彼のくれる温もりは酷く優しい…。バルトにも早くこういう幸せな気持ちをしってほしい…。そう切に願う。 「…さて、そろそろ、その悪巧み計画を実行しましょうか、フェイ。」 ひ、人が幸せな気分に浸っていたのに…シタンは時折、酷く意地悪だ。…そんなところも好きなので泣き寝入りなのだが、少しだけ悔しい。少々の矛盾をかんじつつもバルトを手招きし説明に転じた。数分後、当然のことながら彼の顔が茹でた蛸のように赤くなり首を左右に思いっきり振り反対論を唱える。 「い、い、いくら好きでもそ、そんな事できるわけねぇだろ!?」 「だけどさー、少しくらい勇気だせよ。いつまでも平行線じゃ互いにつまんないじゃないか。」 友達らしい(?)会話の途中、シタンは傍聴人のように聞き耳を立て笑っていた。いつまで聞いているつもりなのか俺が滝のように汗を書いているのを尻目にバルトに詰め寄る。 「若君…シグルドはね、ず〜っと貴方のことが好きなんですよ〜。あれでいて、ウブですからねー。彼は。どう言って表せばいいのかわからないのですよ。貴方への気持ちを。」 「そ、そ、そうかな…。うう…シグ…いっつも俺のこと無視するし…告白しようとすると逃げるし…俺どうしていいか分からなくてさ…。」 はじめてみる泣き顔。少しばかり驚くが晩餐会の時間は待ってくれるわけもなくガンルームにて久々に仲間全員と食事を楽しむ。…イベント半ば、ヴァレンタインデ−チョコの交換などクルーやビリーが盛りあがっていた。 「やったぁ!僕のチョコ、マリアのだ!!」 「…………ビリー様…そう大きな声をあげないでくださいまし…」 「やった!やったぁ!」 「………(照)」 10代の可愛い恋人達の語らいは周囲を和やかなムードにし世界が真の意味で、平和になったことを俺はメイソン郷の入れてくれたお茶を口にしながら実感する。皆、幸せなのは分かったから、後は……あの2人だけ、だな。でも、実際、やるのはバルトだ。彼が本当にシグルドさんを好きなら俺達が提示した方法で想いを伝えるはず。…上手くいくかかなり心配だが、ヴァレンタイン・デーならではの魔法がかかることを祈りつつ、俺は先生と愛を毎日のことながら確かめ合い寝入る。 〜バルト・サイド〜 俺はついにここまできた。あ、憧れのシグの部屋…。心臓がばくばくいってやがる…。告白ちゃんとして…兎に角、頑張らないとフェイに馬鹿にされちまう。っつーのは言い訳で俺が…納得できねぇ。ちゃんと…告白するんだ。しっかし、頭にくるよな。…あいつら。 “…フェイと先生の奴、好き放題いいやがって…” “今日が幾らヴァレンタインだからってよー…幾ら何でも…” “でもなー、ここまで来て引きかえせねぇ!いくぜ!!” ユグドラシル、シグルドの部屋の前で深呼吸1度だけつき入る。 「…シグ、…寝たのか?」 殺伐とした態度で書斎にいくがいない…。ベッドかな…っと方向を変えた瞬間、目当ての人とぶつかり口をぱくぱく動かすだけで固まってしまった。 「…若、今…何時かご存知ですよね?」 睨み目をきかせながらシグは俺を射抜き何も言えなくする。……意地悪だ。 “今日くらい、今日くらい俺が形成逆転してもいいよな?な?” “……もう、なるようになれ!!” 俺はシグの意思を無視しベッドに押し倒す。驚く彼に罪悪感を感じつつも服を引き剥がし口付けを何度も交し…シグのを口に含む。 「!!!わ、わか!?あぁ…あ…っ…」 はじめて聞くシグの喘ぎに俺は嬉しくて…もっと触れたくなって…欲求が膨らんできた。シグ…早く気持ちを聞かせてくれ…。 「シグ…俺は…俺は餓鬼の頃からずっと、お前が好きだったんだ!!」 想いをぶつけるかのように俺はシグの感じる部分に口付けを施し胸元を指で弄りながら根元を舌でなぞった。激しく熱く…俺の気持ちを伝えたかったから…。ただ、それだけの事なのに切なくなる…。 ――シグ…タスケテ…クルイソウダヨ… 「ぁ、あ、ぁあ!わ…か…っ…やぁ…やめ…て…っ…ひぅ!」 「すまない…シグ…でも、俺…もう、耐えられねぇよ!」 否定的な言葉が続いても俺は愛撫する手を止めることなくシグの敏感な先端を始め裏までなぞりなるべく快楽を得られるように尽くす。除々ではあるがシグが拒否しなくなった。これは俺を受け入れるということなのだろうか…。 「は…ぁ…っ…わ…か…ぁ…くぅ…ぁ…!す…き…あい…して…る…」 「え?!…今、なんて?!なんていったんだよ!シグ!!」 「愛してます!…わ…か。」 あのシグが涙ぼろぼろ流して俺に今、抱き付いてる…。信じられねぇよ…嘘だろ…。 「じゃ…何で今までなんにも言ってくれなかったんだよ!俺、ずっと我慢してたんだからな!」 一挙に緊張がとけたせいか逆に悔しさが込上げてきた。むきになりシグの弱い部分を更に攻めていく。達するまで根元を掴み扱きあげつつけ、秘所に指を入れ掻き回す。 「くぁあああ!!わ…か…ゆる…して…ひゃあん!わ…たしは…貴方の部下で…貴方に相応しくないから…うぁ?!」 ――プッツン…。 俺の中で何かがきれた。 「なんだと?相応しくない?まさか、身分とか兄弟ってこと気にしてんじゃねぇだろうな!?冗談じゃねぇ!!そ、そんな事で俺の想い掻き消されてたのかよ!!」 俺は最奥まで指をいれ掻きつづけシグの中に己のを突きたてた。…何度も何度もシグの体を貫き一時、与えられる熱に身を焦がす。 「ふぁ…やぁあああ…そんな…に…しないで…くだ…さい…わ…かぁ!」 最早シグの懇願なんて聞いてやるもんか。しょうもない事で悩んでいた兄を…愛しいと想い慕って…想いだけを膨らませて…。俺の気持ちなんて…部下ってだけで相応しくないということだけで決められる…。そんなの、“クソクラエ”だ! 「シグぅ…辛そうだな。ふふ…。俺の数年分の想い…うけとれ!」 激しく小腸の近くまで刺激し何度もイカセ己も果てた。やるだけやったという達成感を感じつつ気絶し朝を迎える。 「ん…シグ?…!!!あ、あの…すまねぇ…」 昨日の勢いはどこにいったのやら、冷汗かきながら平謝りする。シグの反応が怖い…。 「若、私は後悔していませんから。私の胸に火をつけたのは貴方。…逃しません。」 透き通った青い瞳に見惚れ硬直しているすきにシグは何度も口に頬にそして、首に…いたいほどのキスをくれる。…俺は…ついにやったのか? 「………こ、こういうのって、両想いっつーんだよな!?」 「ええ…。まさか、そういうこともしらずに昨日のような真似を?」 人格が変わったかのようににらむシグ。………………なんだか、いつも通りじゃねぇか。普通、恋人って違うだろ?キスしたり愛し合ったり抱き合ったり。…俺達ってそういうの無縁なんだろうか。一生分の考えが頭をつきぬけていく。 「まあ、いいでしょう…若。これで、れっきとした恋人、ですね。」 悪戯っぽく微笑むシグに脳天がくらくらとしつつも、ブイマークをつきつけいつもの俺をアピールしながら、再び心地良い温もりにつつまれるのであった。 END |