「最低賃金」があるのなら、「最低発注金額」があっても良いでは?

もう呆れるを通り越して、清々しい公募があった。

デザインの力で、行政を変える!!~天王寺区広報デザイナーを募集します~

「漢」とかゆーレベルを軽く越えて、斜め上どころか亜空間をワープ速度で飛んでそうな公募だ。

何が凄いって、

5.報酬

なし
ただし、天王寺区役所として以下の内容について実施します。
・「天王寺区広報デザイナー」について、区ホームページ・広報紙等で紹介します。
・広報デザイナーが作成したポスター等にはデザイナー作であることを明記します。
・ホームページで事業の周知を行う際に、ポスター等がデザイナー作であることについても同時に周知を行います。

これね。早い話が、「うちの仕事すれば宣伝になるから、感謝してタダ働きしろよ」ってこと。

まー、この話にこれ以上つっこむ気はない。あくまでも、つかみ。つっこむ価値もないからね。

賃金労働者には、「最低賃金」というものがあって、それより安い給料で働かされると、お役所に怒られる。怒られなくても、労働者が裁判でも起こせば、まー負ける。サービス残業しまくると、時間単価にすると最低賃金を下回るなんてことが起きたりするのだけど、それでもまぁ一定の歯止めとゆーものにはなっている。

ところが、請負仕事の類には、「最低発注金額」とゆーものはない。どんなに安い単価になっても、仕事として引き受ける契約をしてしまえば、いくらでも働かされてしまう。

今の世の中、ノマドだのフリーランスだのとゆー人が増えている。こういった人達は、たいていは請負契約であったり派遣契約であったりで、「賃金労働」ではない。つまり、契約金額に納得出来なくても、契約してしまったらその金額で働かなければならないし、それが法外に安いとか言うことは出来ない。「契約の自由」の原則に従って、自由な金額で契約することになる。

まー、これがそれなりの規模の会社であれば、「馬鹿な金額で契約して来た営業が悪い」とか「自己責任」とかって言葉にも意味があるだろうが、ギリギリのところで仕事をしなきゃいけない立場である時、「金額に納得が行かない」ということを言う余地はなかったりする。「次は何とかしますから」とか空手形切られて、渋々子供の小遣いみたいな金額で受注してしまうのが、零細企業やノマド、フリーランスの実態だろう。

これをどんどん突き詰めて行けば、なんとゆーブラック労働パラダイスが出来ることか。しかも、「おまいら」は「自己責任」とか言っちゃうんだろ?

でも、多分これからは望んでなくても、ノマドやフリーランスとゆー形式の労働スタイルにならざるをえない人達は増えて行くだろう。そうなった時、最低賃金よりも安い単価で発注することを、止める規則はないのだ。そろそろ、この辺のことも考えて行かないと、「労働スタイルは変わって行きますよ」とゆー言葉が空虚になってしまう。