「小悪魔ageha」で衝撃を受けたこと

「小悪魔ageha」の出版元が倒産とのこと。

いろいろあった結果らしいし、雑誌は版元が代わって続いたりとかするのだけど、このニュースには衝撃を受けた。

もちろん、この「倒産」は「小悪魔ageha」そのものが… というものではないだろう。そういったミクロ的な分析は、

『小悪魔ageha』の版元が倒産へ、全盛期から何が変わったのか

に書き尽されている感じがあるので、特に何も言うことはない。運良く版元が代わって続くかも知れない。

では、何が衝撃的かと言えば、

女性誌(特にギャル系)は最後まで残る

と思っていたのが、くつがえされたから。

言うまでもないと思うのだけど、情報誌的な雑誌は、どんどん衰退している。それは廃刊になる雑誌やコンビニで見掛ける雑誌の厚さを見れば実感出来ると思う。あるいは自分の行動でもわかると思う。今や有効な情報源は「ネット」であって「雑誌」じゃないという人は少なくない。

コンビニで売られている雑誌を見ると、

  • おっさん向けエロ雑誌
  • 女性誌
  • コミック

ばかりで、情報誌的な位置付けの雑誌はいなくなってしまったか、薄くなってしまっていることがわかる。それだけ「雑誌」というメディアが衰退しているのだ。

その中にあって、衰退しないものがこの3つなわけだ。さらに、この「おっさん向けエロ雑誌」と「女性誌」は共通するものがあって、どちらも

ネットは(あまり)使わない層

向けだということ。「おっさん向けエロ雑誌」については、以前「コンビニ店長」が書いてたと思うし今回はどうでも良いので省くとして、もう一方の「ネットを使わない層」向けの「女性誌」が驚きだったのだ。

かつて雑誌を買っていた人達が今雑誌を買わないのは、「経済的事情」はあまり大きくはないと思う。強いて経済的事情を考えるなら、

コストパフォーマンス

の問題であって、「お金がないから」とはちょっと違うだろう。もちろん「そんな金ねーよ」的な気持ちもあるんだろうけど、結局それは絶対値としての金欠ではなくて、「そんな金あったら他で使うよ」という意味での、「そんな金ねーよ」だと思う。10年くらい前の行動を思い出して欲しい。ネットからの情報で十分、あるいはそっちの方に価値が出てしまったから、相対的に雑誌の地位が下がってしまった。まぁこの辺も偉い人達が分析しているだろうから、詳しくはそっちで。

いまだに雑誌を好んで買う層は、ネットをあまり使わない層だ。ほんのちょっと前までは、「女性誌っぽい情報」はネットにほとんどなかった。そういった層が使うIT機器は、「ガラケー」であってPCでもスマホでもない。ガラケー向けにそんなことをやっても、ぱっとしないのだから、作る方としても力入らないし、読む方も面白くない。「女性誌っぽい情報」はネット上に需要も供給もなかったから、雑誌は安泰だった。また、そういった層は一番後までネットに来ないものだと思っていた。

ところが、ここ数年で世の中が一変する。「どう見ても女性誌センス」的なウェブサイトは大量に生まれ、今まで「ガラケー」しか使ってなかった層はスマホを使うようになった。ネット化が遅い層にも、需要も供給も生まれるようになった。

というようなことを思うと、「小悪魔ageha」の件も、ある種の

マイルストーン

的なものに見えて来る。ミクロに見れば固有の事情がある話であっても、それは「時代のうねりの波をかぶった」的なものに見えて来る。

もちろん、個々の数字を持って来れば、いくらでも反論出来ると思うのだけど、他の層に向けた雑誌やそれらの層がどういった情報収集活動をしているかということを考えれば、

そんな時代が来たのよね

と捉えるのが妥当なのではないかなと思う。