その「承諾」は拒否出来るのか?

Lenovo、今度はThinkPadにユーザーデータ収集ソフトを潜ませていた

実のところ、これくらいは最近のアプリにしろハードにしろ、それ程珍しいことじゃない。まぁ、Lenovoに関しては、かれこれ20年以上ThinkPadを使っていたが、この手のことがしばしば起きていたので、関わらないことにしたから、個人的には関係ないが。

元記事にも書いてあるし、ブコメとか読めば「これくらいはどこでもやってる」「嫌なら拒否すればいい」ことなので、ことさらに「Lenovoがー」と言うこともないのだが、もうLenovoは信用のないメーカだから、「まぁしょうがないよね」ということで、Lenovoの話はおしまい。

ただ気になるのは、この手の「承諾」を拒否出来る人がどれくらいいるのかということ。

もちろん、こういったことをやっているんだということが明示されてなくて、設定の奥深くに存在していたら、拒否するのは難しい。そういったアプリも少なくはない。とは言え、最近はそういったことにうるさくなっているので、余程のことがない限りは、比較的わかりやすいところ、あるいは使い始める前に聞いて来るので、どうやったら拒否出来るかということがわからなくて拒否出来ないということは、かなり減って来た。

とは言え、それでも果して「拒否」出来るだろうか?

まず誰でも思うのが、

拒否して不都合があった時、あらためて許諾することは出来るのか?

ということ。

最初に拒否なり許諾なり聞いて来るものであっても、それを後から変えるのはわかりにくいところにあったりする。これを思うと、簡単に拒否するのは難しい。

それよりもっと大きな問題は、

拒否して不都合はないのか?

ということ。

拒否して何も困らないなら、許諾するのは「善意」の問題だけで済む。「タダのソフトだしお世話になってるからな」とか、そういった時に「多少のことなら協力しても良かろう」と思うのは、特別に奇異なことではない。

しかし、ここで「拒否」することによって、何らかの不利益があるとしたらどうなるか?

  • 「承諾」しないと、機能制限があるのではないか?
  • 「承諾」しないと、何かの「確率」が変わるのではないか?(ゲームとか)
  • 「承諾」しないと、面倒な思いをするのではないか? (一々「承諾してくれ」というダイアログが出るとか)

などなど、考え出したら、とゆーか疑い出したらキリがない。

もちろん、「承諾」しないと技術的論理的に不可能なことは、まぁしょうがない。「通知を許可しますか」という類で、通知を承諾しなければ通知が来ない。これは当然のことだ。これで納得しない人はクレーマでいいと思う。

何かが当たる確率が変わるとか、気がつきにくいし、仮にそんなことがなくても信用もしづらい。しかも、ないとは言い切れない。大金注ぎ込んでガチャ回す類の人は、そんな「ジンクス」だって気にするだろう。

さらに話を大きくすれば、いろんなサービスを利用する時、あるいは契約をする時に、

この条項は承諾出来ない

と言うことが出来るかということでもある。

理解力の低いはてなーに誤解されないように何度でも書くが、その「承諾」が本質的なものであれば、同意しなければ利用出来なというのは、何らおかしいことではない。そこに本質があるなら、そういった「承諾」を求めて、「承諾」しない人に対しては「さよーなら」であってもいい。

しかし、利用者側からはどう考えても本質的でない「ユーザー体験の向上のため」とか「今後の当社製品の改善のため」の類、あるいはデータを二次利用するためのこととか、そういったことを「利用」と引き換えに要求することって、果して良いことなのかどうなのか。もちろん、使わせる側の目線だと、

タダで使わせてやるんだからそれくらいやれよ

という結論しか出ないだろう。「ウェブの広告」と同じことだ。とは言え、利用者目線で考えるなら、

明確なメリットデメリットの提示

がなければ納得もしづらいし、それに合理性がなかったら「なんだよ」と思うしかない。

そう考えると、「ユーザー体験の向上のため」と称していろんな情報を集めるということは、一律

ということで、やめる方向に行くべきではないかなと感じている。相互に信頼する術がないから。20年以上ThinkPadを信じて使っていても、Lenovoは見事にその信頼を裏切ってくれたしね。