「まつもとゆきひろコードの未来」

日経Linuxの森側さんより献本される。

私がmatzの本の書評を書くとかいろいろ微妙だし、私が書評書かんでも売れるものは売れると思うんだけど— とか言ってたのだけど、くれるってものはもらっておくし、もらったんで書評を。

結論書いとけば、これは

伝道書

である。


パラパラっとめくって、ちょっと上から目線で見ると、

誰がこの本読むん?

というのがすぐ思い浮かぶ。なにかの入門書でもなければ解説書でもない。Rubyの本とゆーこともあまりない。だからそういったことを期待して読んだら、期待外れに終わる。そういった期待を持って読めば、何も得るものはないと言っていい。いろんなことが解説されているけど、そんなに深い内容でもないし、何か知らないことがわかるようになる程の解説ではない。matzの文章が好きな人とか趣味の一致している人なら良いのだけど、そうでない人にとっては、そんなに実りはないかも知れない。

とゆーか、この本の価値はそんなところにはない。この本は、

初心者が中級者以上に進むための導入の書

である。初心者が入門のためになることは、あまり書いてない。「それ以上」のレベルになろうとして、学習することに直接役に立つ程の解説はない。だけど、そういった「それ以上」のレベルでやるべきことの「導入」が散りばめられている。だからたとえば、「一応コード書けるようになったんだけど、次何をやろうか?」と思っている人が、「次にやること」に対しての「興味」を発見することが出来る。そこにこの本の価値がある。

だから、たとえば新卒採用の新人が、もっとコの世界の理解を深くするための、「それ以上」のレベルへの糸口として読むとか、長らくCOBOLerをやっていて、「COBOLer続けるのはなぁ」とか思って、「それ以上」のレベルに入るための糸口とか、そういった目的で読むといい。つまり、

コの世界は広くて楽しい

ということを知って興味を持つために読むものだ。

そういった意味では、一番いいのは

ギークな先輩が見所のある新人にプレゼントする

ことではなかろうか。それも、情報が専門でなかった文系出身業界新人とかが、この本を興味を持つようになったら、そいつには期待していい。