「クラウド」で心配になっていること

先日、Olinasの喫茶店で小耳に挟んだ会話から思ったこと。

近い将来、

「クラウド」という言葉は「ハッカー」並に誤解される

であろう。

Olinasの客層は微妙にDQN臭のする人が少なくない。いや、それは「DQN」と言うより、地元民の普段の姿が見える場所で、殊更にハレの場ではないから、都心の繁華街とは違う空気になっているだけに過ぎない。人は「地元」だと思えばDQNっぽくなり、DQNっぽい格好をするものだ。そんなわけなので、そこで見るものは、

普通の人の普通の姿

だろうと思う。まぁ、私は映画を見にわざわざ行くところなのだけど。

喫茶店に入ったら、隣りの席のリア充っぽいカップルが会話をしている。別に他人の会話には興味はないので盗み聞きするわけじゃないけど、なんか二人でiPhone出して会話している。多分アプリのことかなんかが話題なんだろう。そこでどんな文脈かよくわからんのだけど、

「クラウドいいよー、便利だよー」

という声が聞こえる。ちょっと聞く気で聞いていると、

「クラウドって何?」
「あいくらうどって奴」

とか会話を始めた。ふーん、今やクラウドってiPhoneのお陰で一般人も知るところになったのね… と感心していたのだけど、会話から想像するに、彼等は「クラウド」のことを

ファイル保管サービス

のことだと思っているフシがある。まぁ確かにiCloudってそうだ。

iCloudがクラウドサービスであることに異論がある人はまずないだろう。そして、iCloudが今のところファイル保管サービスであることにも異論がないだろう。また、iCloudが一番「一般人」が触れる機会の多いクラウドサービスであることにも、多分異論のある人は少ない。となれば、一般人の理解として

クラウド = ファイル保管サービス

となっている、そうなって行くことは、別に不思議でも何でもない。

この構造、どこかで見たなーと思うのは、「ハッカー」のことだ。

クラックはかなりコモディティ化してしまったので、クラッカーがハッカーであることは、必須条件ではなくなったが、元々はクラッカーはハッカーだ。また、一般人が一番触れる機会の多いハッカーの情報は、クラッカーの情報だ。その結果、

ハッカー = クラッカー

となった。お陰で「ハッカー」は世間ではわりと日陰な言葉になってしまった。

「クラウド」に関しては、ちょっと専門誌のある雑誌、たとえば「日経××」の類でも、「ファイルを保管してちょっと便利にしてくれるサービス」的に紹介されていることが少なくない。

クラウドを使いこなす

的な記事に出て来るのは、DropBoxとかEverNoteとかGoogle Documentsといった、「ファイルを保管してちょっと便利にしてくれるサービス」だ。まー、そのレベルの人達にPaaSとか用ないし。

幸い、そういったサービス自体は後ろ暗いところは(ほとんど)ないから良いのだけど、用語の使い方という点では、近い将来「ハッカー」並に厄介なことになるのではないかなぁと心配する。それが悪いことかどうかはよくわからんのだけど。