「エアベンダー」

今の時代、国際協調ということが大事だ。

よく右曲りの奴等が「国家安全保障のため」と称して、何でもかんでも「日の丸」であることを求めるのだが、それは根本的に間違いだと思っている。なぜなら、民族やその背景に流れる文化、あるいは世界の中においての役回りというのは、それぞれ違うからだ。簡単に言えば、それぞれに得手不得手がある。「国家安全保障」も結構だが、そーゆームダをやってる間に得意なことで金稼いで、札ビラで頬叩くようにしてる方が、ずっと効率良いし平和だと思っている。

そんなわけで、アニメは日本以外での制作はありえんし、メロドラマはフランスだろうし、「どかーんばーん」はハリウッドだ。当然、カンフーは香港。その枠から外れたい監督や俳優は、それぞれが得意とするところに移動して行くのが良いと思う。その方が効率が良いし、みんなが幸せになれる。

ということを思わせてくれる映画だ。

私は例によって何の予備知識もなしに見に行ったのだが、どうやらこれは「ハリー」とか「指輪」とか「ナルニア」とか、そーゆーものの系統だと思う。間違っても、「少林寺」とか「プロジェクトA」とかの仲間じゃない。まぁそーゆー

どこか知らないお伽の世界

のお話で、リアルな何かとは微塵も関係ないし、「何か」にはモチーフとなっている「武道っぽいもの」も含まれる。つまり、完全なファンタジー映画だ。

「ファンタジー」ってのは、完全に虚構の世界だから、その世界がどんなものであるか、観客に理解させなければならない。質の良いファンタジーは、特に説明じみたものがなくても、グイグイ観客をその世界に引きずり込んでくれるものだ。下手な同人漫画(最近は同人に限らないようだが)のように、語りや主人公の独白でgdgd説明するようなファンタジーは出来が悪い。まぁそれですみやかにその世界がわかれば良いのだが、それでもわからないファンタジーもあったりするから始末が悪い。

で、この映画なんだが、その

始末が悪い

の部類だ。このファンタジーの世界がどんなものであるか理解するのに、前半くらいはまるっと必要としてしまう。わりとgdgd説明ったらしい展開があるのに、さっぱり話が見えない。それぞれの国の対立関係、敵味方とゆー単純なものでさえ、すぐにはわからない。もちろんそれらをすぐにはわからせないようなストーリー展開もアリだと思うが、この映画の場合は、作る側にそれをさっさとわかって欲しとゆー意図が見えて来る。ところが、それでいてなかなかわからない。それぞれの役回りが見えた頃には、半分くらい終わっている。

さらに、このみんなが使っている「武道っぽいもの」が謎だ。いろんなところにすごくアジアっぽいつーか、中華っぽつーか、そんな感じのものがあるし、主人公(?)の少年周囲の人達は、カンフー映画を彷彿とさせる姿をしていたりするので、なんかそんなものなんだろうなと思うのだけど、なんだかよくわからない。なんつーか、西洋人がファンタジー的に持っている

東洋の神秘

のイメージを、何の考証もなく映像化したとゆー感じだ。日本人出て来たらチョンマゲして首からカメラ下げて眼鏡かけてんじゃね? とゆー、そーゆー奴。正直、

「誰か止めなかったのかよ?」

と思ったものだ。

あと、アメリカの映画のくせに、妙にストーリーが重い。ハリウッドにありがちの「どーん、ばーん」なシーンはあるのだけど、水戸黄門的な心地良さとは縁遠い。

で、後で知ったのだが、件の映画はそれなりに名のある人、それなりの評価を得た人が参加しているものらしい。つまり、間違ってもB級映画ではない。じゃあ、A級かと言われると、いろんな部分の考証の甘さとか、展開の強引さとかで興醒めしてしまう。つまり、この映画は従来のハリウッド映画にありがちの、ストーリーのワンパターンなところとかから脱する努力はしているのだが、そのせいで妙なことをやって失敗している。そんな感じだ。

そんなわけで、

カンフー映画は香港に限る

とゆーことを強く思わせてくれた映画だった。どうやらpart 2とか3とかありそうな展開なんだが、映画館で見るかどうかは疑問。DVD借りて終わりにしそうな気がする。

「エアベンダー」” への2件のコメント

  1. 監督がM・ナイト・シャマランという時点で、どうしようもない駄作だってわかりそうなものなのに…。

  2. 私は、原則的に予備知識持たずに見ることにしてるんだよ。スタートレックとか別だけどさw

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