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2000年より試験運用、2001年よりハイブリッド化。 安定稼働中のシンプルな10万円個人風力発電システム。 非常に安価にマストをたてています。 現在は不要CDをテールフィンに取付け、風向制御を 良くし、24ボルト6ワットの太陽電池パネルで ハイブリッド稼働、検証中!! ...日曜大工電動工具充電用途に使用中。 個人風力発電を開始されたら かならずビス・ボルト・ナットの点検・まし締めを! 組み立てにはネジロック必須! 倒壊・タービン脱落・ブレード破損事故を 防止しましょう!! (2002年秋) |
まず、やってみる、コンセプトは安価。
個人風力発電は実際どうしたらよいのでしょう?インターネットを彷徨い出会ったサイトの数々。風力発電のコストは?製造、廃棄にかかる環境負荷の見積もりは?ええい、人間活動はすべからく環境にインパクトがあるものだ、まずは個人でできるだけやってみようじゃないか!まずは実践してみることです。感じを掴むのが重要ですから、ゴルフやスキーに熱中した1シーズンよりはずっと安上がりに楽しんでみよう、それがコンセプトです。で、まずはちょっとお勉強。
風力発電機を調達しましたので、ちょっとワクワクします。いろいろ想像力を働かせ、創造性を発揮して、いろいろな小さな問題を解決していきます。まずは相手を知ることにしましょう。
量産高性能400ワット型風力発電機 AIR-403を実際に手に取ってながめると...
その特徴とは?
ネオジウムマグネットを使っているため小型軽量。
だけどかなりテイル・ヘビー(尻尾の方が重い)。
それではいつも自分でするように、分かる範囲での調査と解釈です。調べもしないで質問するのはマナー違反ですからね、ぶつかってみて納得のいかないところだけが質問になりうるのです。
ネオジウム磁石は正確には「ネオジウム合金磁石」のこと。で、ネオジウム合金はNdFeBと記述されます。ネオジウム-鉄-ホウ素合金だから、設計によって配合比率があるはずです。
ちょっと前だと、サマリウムコバルト(SmCo)磁石がウオークマン型ヘッドフォンステレオのイヤフォンの小型化に役立っていました。それを越える性能があるようです。ここでいう性能というのはサマリウムコバルト磁石と同サイズであれば、より高い表面磁束密度と減磁抵抗値を示す、というように記述されます。したがって、サマリウムコバルト磁石と同程度の能力を要求されるときにはより小さな磁石で可能となります。おそらく AIR-303型(300ワット)から403型(400ワット)へのアップグレードもダイキャストボディの空間に入る大きさという制限の中での磁石の強化によるものでしょう。サマリウムコバルト以前は、オーディオマニアなら良く聞くアルニコ磁石が強力な磁石として知られていました。JBLのサンパチ・アルニコをドライブするには超弩級のアンプが要る、なんて昔のマニアが言っていましたっけ。磁石の材質としては、鉄、フェライト、セラミック、なんてよく聞きますね。ちなみに私が仕事でお守りしているのは一般の方にはほとんど目にされる機会の無い、超電導磁石、です。これニオブスズ系合金を絶対零度近くに冷却している磁石で、十数メガジュールというとてつも無いエネルギーを蓄えた目の玉の飛び出るぐらい高価で繊細な磁石です。10トントラックが時速100キロでぶつかる、ぐらいのエネルギーを蓄える10トントラック10台では買えない値段、です。 脱線しました。
工業デザイン的に美しいボディ。
冷却といえば、調べた限りでは、サマリウムコバルト磁石は割合と高温でも持ちますが(250度ぐらい)、ネオジウム磁石は80度ぐらいが上限温度のようです。これはちょっと気にしておいたほうが良さそうです。それで、先に「それを越える性能があるようです」と書いたわけです。性能は有る環境下でのみ保証される、これはパソコンのベンチマークなどと一緒で、つねに使用環境でどのぐらいの性能がでるかを考えたほうがいいのです。
現実の運用では、強風時ストップスイッチで回転を止めたときに発熱するはずです。でも、強風時ですから、強制空冷状態なんでしょうね。ボディはアルミですし。それで発熱から逃げられるのでしょう。
どうせ個人でやるならかっこいいほうがいいです、やっぱり。ただ持った感じの重心はしっぽ寄りにありますので、ヨーシャフト、風向制御に用いられる回転シャフト、の水平を出さないとうまく風上に向かってくれないかもしれませんからインストールする時に気にしておくことにします。
意外に細身の3枚ブレード。
また、ランド仕様はむき出しのダイキャストですので、色を塗りたくなります。梨子地なのでサフェーサを吹かなくても塗装できます。ただ可動部分と「へそ」になっている発光ダイオード(発電のインジケータ)はマスキングする必要がありますね。ちょっといいかげんにグラインダをかけてバリをとった跡があります。このへんが日本製磁石を使ったアメリカ製品、と思えるところです。ケースだけメッキ屋さんに出し、そのあとバフがけして鏡面仕上げにしたらピカピカ光ってかっこいいんですが...
結局、知り合いの板金屋さんに塗ってもらいました。風力発電機と聞いたもんでトヨタ・プリウスの純正のガンメタで塗っておいたよ、とのことでした。ちょうど、そんなコマーシャルがテレビ放映されていたのです。下地からしっかりやってもらって3重に塗装してくれたので、ブレードの塗装も含めて気持ちだけ5,000円支払いました。これは余剰部分なので、経費に計上しません。
ブレードとは風力発電機のプロペラの羽根のことです。この羽根がしなって強風を自動的に逃がすわけです。そのかわり暴風時は羽根がばたついてかなりうるさいフラッターノイズを盛大にばらまきます。けっこう嫌な音です。住宅密集地でのインストールは同じ会社のWindseeker503 500wattモデルが良さそうです。ただ、価格が安くて発電量が多いというのは何にも増してAIR403の魅力なのですが。
ブレードはカーボンファイバーで強化された樹脂ですので普通の塗料でははげ落ちてしまいます。柔軟性を高める配合剤を入れて自動車の樹脂バンパーの塗料で塗ってもらいましたが、本来、ブレードに塗装はやめたほうが良いです。私は、職人芸を信じて塗ってもらっちゃいましたが、高速回転風車ですから、ブレードのバランスを塗料で崩してしまったら性能劣化だけでなく、ひょっとして妙な振動がでて発電機の寿命を縮めたり、不測の事故に繋がらないとも限りません。安全はなににも増して優先されるべきです。
胴体から出ている3本のケーブル。
え?3本。三相交流?いえ、直流です。そうです、正(赤)、負(クロ)、それにグラウンド(緑)がついているのです。自動車はマイナス接地が普通ですからそれに習ってグラウンドはクロとまとめてしまってもかまいません。タワーをアースにするならそちらにグラウンドをつなげばいいでしょう。AIR はレギュレータ内蔵で、即バッテリーに繋ぎ込むことができるのです。
ちょっとオアソビで三本の線を指でつまんでショートさせます。そして指で発電機のシャフトを回すと、回転が重くなります。強い力で回そうとすればするほど重くなりますね。これがストップスイッチの役目です。ということは、これでとりあえず発電することが確認できます。実はこれはマニュアルに書いてあります。発電の確認だけなら、赤黒を舌の先に触らせてシャフトを指で少し回すってのもできますが、相手は発電機、どうなってもしりませんよ(笑)。
インストールするときのことを考えると、この3本で落下防止ハーネスになりうるかどうかというところですが、エンジニア的視点からみると、マウント部分に落下防止ハーネス用のネジ穴でも切っておいてくれればいいなと思いました。対物損害補償なんて有限なんですから。でも、緩んで落ちるのが1年以内だったら、あまりにオソマツな取り付けですね。
ところがAIRの製造元はいきなりスペックダウンして中国製の粗悪ベアリングを取付けて出荷しはじめています。幸い正規輸入品でしたので、保証の範囲として日本製「高性能」ベアリングと交換してもらいましたが、並行輸入物は要注意です。シャフトを回してゴリゴリするようなら粗悪品です。交換してもらったあとは「ニュル〜」っと回ります。また、AIR ベースのゼファー500や日本仕様に新しく仕様変更を受けたAIR405が高価にはなりますが、その分安心ですので、並行輸入AIR-403を選択する前に一考の余地があります。私が購入したときは403しか選択肢がなかったのです。
設置方針と実際
さて、インストールはどうしましょう?ルーフタワーや自立型のタワー、パンザマスト、あるいはコンクリの電柱など、なにか支柱が必要です。製造元のウエッブには静かなので屋根の上にインストールが可能、と書いてあったりしますが、念のため再掲しておきますが、こちらに動作音のwavファイルがあります 。私はまだこれほどのフタッタリングノイズを聞いたことはないのですが、高速回転時の風切り音はシュン、シュン、シュン、シュルルル、シューーーーーーッ!という高周波音です。コワイというか、頼もしいというか...これすなわち、高速型小型風力発電機の素性、です。この音でエコを目指してご近所からエゴと言われると困りますから、注意が必要です。
フラッタリングノイズはビーィ、ビーィと言う感じですが、NEDOの風況地図で黄色の場所に位置する我が家では、実はあんまり気にならないのではないかと思っています。
タービンを建てるのに、アマチュア無線用のタワーの会社をあたってルーフタワーや自立型のタワーを調べるとそれなりに高額です。妻も私も無線の免許を持っていますが、家でまで本格的にやろうとは今のところ考えていません。またまた脱線しますが、無線技術の大部分はアマチュア的要素が消えてしまったように思えますね。きょうびの若者は愛撫するかのように超高性能な電脳付きSHFフルデュープレックスディジタルトランシーバ、つまり携帯電話を握り締めて闊歩しているではありませんか。父も弟も無線免許を持っているという無線一家ですが、さすがにタワーはやめることにしました。家族の支援がとれないとなるとチマチマとやるより仕方がありません(苦笑)。でも、アマチュア無線のアンテナ・タワーには保険がかけられますから、アンテナタワーの付属品として風力発電機ごと保険に入る、なんてワザも考えられます。これ、あとで出てくる「強力な助っ人」氏からの情報です。
アンテナタワーをあきらめたので、それではと家を建てるときに使う仮設電柱はどうかと工務店の社長が提案してきました。リストプライスで約2.7万円から各種あります。丁度ルーフタワーと同程度の価格帯です。それからまたマストを取付けて発電機本体を取付けることになります。スッキリポールという商品名ですが、それをスッキリと施工しようとするとそれなりに大変な作業になりそうです。
そこでかわりに、足場鋼管を使うことにしました。とにかくチープシックでだれでも始められることを念頭に置きます。本体に対して設備に数倍の投資が必要といわれる風力発電を発電機本体を最大の投資対象として安価に実現するエンジニアリングをめざすことにします。個人風力発電設置の極意、です。
それに最初から欲張らない、メンテナンスがしやすい、など念頭に置きます。足場鋼管の強度で自立が可能、かつ下を通る人が安全という高さとして3メートル高にします。風は高ければ高いほど、また地形をマクロな目でみて盛り上がっている頂部の流速が最も早くなります。ですので、本当は高いほうがいいのです。でも、倒壊したら?で、家の近くの乱流を避けられる風通しの良さそうな場所を選び、自立型3メートルで試験運用開始、です。気持ちは5メートル、できれば8メートルは欲しいんですが、ね。もちろん家に取付けることも考えましたが、メンテと強風時のノイズの事を考慮して今回は見送りました。運用のノウハウが取得できたところで考えることにします。なんにしても趣味で事故を起こしてはつまりません。
それでつぎのような材料を集めました。
材料・機材
SouthWestWindPower AIR-403 Landウインドタービン 約90,000円
4メートル足場鋼管 780円
足場鋼管金具ステー用 190円
足場鋼管金具クロス用 190円
重量ブロック 150円×4個
プラ被覆針金 一巻35メートル 290円
5メートル24ボルト100アンペアブースターケーブル 1980円
8ミリ圧着端子 120円
自動車用カルシウムバッテリ38アンペア時 1980円×4個
バッテリターミナル プラス極用4個、マイナス極用4個 200円×8個
結束バンド250ミリメートル 25本入り 480円
ON-OFF-ON15アンペア双極トグルスイッチ 640円
トグルスイッチ取付け金具(自動車用) 180円
2mmスクエアVVFケーブル1メートル(または銅針金) 80円
エフコテープNo.2(自己融着テープ) 480円
ドライコンクリート25キログラム 580円
6号砕石 約50キログラム 415円
ストッカー 1480円
ツメ付きヒューズ20アンペア 180円
50センチ鉄ペグ 130円×3本
ダイワ 24V用300W疑似正弦波パワーインバータ 14,500円
工具、小物類
ビニールテープ、針がね16番数メートル、屋外引き込み電線少々、革手袋または軍手、圧着工具、段ボール、ドライバー、モンキーレンチ300ミリ、150ミリまたは組みスパナ、スコップ、トロ舟、園芸用小型スコップ、水中ボンド、メジャー、水準器、鉄鋼ドリル、センターポンチ、ハンマー(大小)、ケーブル押さえ金具、カッター、電工ペンチ、プライヤー、糸ハンダ、ハンダごて60ワット以上、ヤスリ、はさみ、金切りばさみ、CRC-556、モリブデングリース
パワーインバータを後回しにして自動車修理工場やガソリンスタンドから交換されたばかりの廃棄バッテリを調達したり、手持ち部品を活用したりすれば10万円ぎりぎりで実現できそうです。
さては肉体労働に突入、です。
まずは穴掘りです。穴掘り器が手に入らなかったのでスコップで掘りました。位置が決まったらブロックを置いてそれが縦横すっぽりはいる大きさを決め、それにしたがって正方形の穴を掘ります。深さはブロックの2番目に長い辺を高さとして2段分です。そうしたら底を平らにし、さらにその中心を細く掘り進みます。私の場合はスコップの横幅で細長くクサビ状に1.1メートルまで掘りました。一番の重労働ですが1週間前にやっておきました。ブロックを2つ組みにして間を5センチほどあけて落し込み、同様に90度ひねって乗せると中心に5センチ四方のすき間ができることを確認しておきます。ポイントは大きく掘らないこと。あくまでもブロックがスムーズに入るギリギリの大きさにしておきます。ちょうどブロック2つ分の高さのあたりは土の堅いところです。つまり土圧を面で受けて、マストを自立させよう、先端はコンクリートで押さえよう、そういうアイディアです。
4メートルの足場鋼管は有り合わせのペイントで塗っておきましたが、発電機の色と会わなくてあとで妻に文句を言われました。
加えて申せば、最初に掘った穴は位置がキッチンからの景観を損ねると却下されました。結局2つ目の穴を掘ることになったのでした。埋めるのが簡単なのに掘るのは何と大変なことか...それでも1時間半ほどの作業で無事に段付きの穴を掘ることができました。どうせ穴を掘るなら拙文「闇夜の壷」などの方が面白いかも、ね。
また、ストップスイッチにと買ってきたトグルスイッチは15アンペアの接点容量が2回路あります。そこでVVFケーブルの2ミリの単芯を使ってトグルスイッチの2組の足を短絡して大容量化します。これを一まとめして二倍にすれば30アンペアの接点容量となる計算ですが、そうではありません。トグルスイッチという機械式の接点は、2組を繋いだからと言ってまったく同時に投入、切断できるわけではない、ということです。ある瞬間、電流が集中して接点でアークしてしまうことも考えられます。ですので、複数回路を一まとめにするときには合計容量よりかなり少なめに考えておくことが大切です。実はスイッチの定格には端子短絡で25アンペアと書いて有りました。VVFから取りだした5センチほどの銅線の端をハンダメッキします。スイッチの端子も極少量のハンダでメッキします。このあたりは40ワットクラスのはんだごてでも間に合います。まず銅線なり、端子なりをはんだごてで温め、コテの接触しているところに糸ハンダを当てます。ふっとハンダが流れて馴染んだらコテを離すのがコツです。ここまでは一人で作業しました。
風のない休日に強力な助っ人一人を頼んで、朝、11時ごろから作業開始しました。マストとなる足場鋼管の先端から10センチのところに10ミリほどの穴を開けます。センターポンチを打ち、ドリルで細い穴を開けてから順次広げていきます。切削油かCRC-556などで刃を冷し洗いながら作業します。この作業は経験のある助っ人にお願いしましたが、私の道具箱のホームセンター出身の安物のドリルチップは歯が立たず、ボキボキ折れました。いいドリル刃が必要です。
AIR はヨーシャフトの中からケーブルが出ていますから、どこからか外に出す必要があるのです。マニュアルでは鋼管の中を通して地上に出すことを推奨していますが、私の場合は、あとからメンテができること、目視で確認ができることなどを考慮して、タービン直下でマストの外側に出してしまうことにしました。そのための穴開けです。マストにはコンクリートが固まるまでのあいだ、マストパイプの動きを制限するため、プラ被覆針金で簡単なステーをとります。そのための金具を上端から1.1メートルのところに付けました。
ケーブルは24ボルト100アンペアのブースターケーブルを使います。本当は屋外用の配線を使うべきなのですが、雑な取り扱いにも耐える上、なによりも安いのです。私の使う24ボルト仕様の発電機は(12ボルト型の半分の電流で済むとはいえ)400ワット時で16アンペア流れますから、配線自体相当な高額になってしまいます。発電機(オルタネーター)のスペックシートを見ますと、600ワット近くまで線が延びていますから、25アンペアぐらいは余裕で流せないといけません。また、細いケーブルを長くすれば長くするだけ抵抗になりますから、せっかく発電してもそこでロスしてしまいます。というわけで、価格的にも容量的にも格安にあげるのはブースターケーブルが一番です。100アンペア用と余裕があるので、安心です。発電機側になる方の鰐口クリップは切り離してしまい、2本まとめて結束バンドでマストに固定していきます。ケーブル自体の重さが相当有りますから、強度を考えて、一点にストレスがかからないように注意します。また、発電機側も長さやや余裕をみておきます。接続と防水の処理などに思いの外長さをとられることがあるからです。あらかじめ数十センチずらしておくとバッテリへの配線、またショートの危険などを避けることが出来ます。あまりきつく締めるとそこから発熱して発火、などということもありえますから、細いより線の電線を使ってはいけません。マストに固定する部分は柔軟性はなくなりますが、単芯のケーブルを使えばより安全です。しかし、おりまげによる内部断線がおこりやすいのでこれもツボを得た使い方が必要でしょう。大電流を扱う配線は繋がってりゃいいや、は禁物なのです。電線から発火して家を燃やしてしまったら元も子もありません。それに後述しますが、バッテリからは水の電気分解で生じた爆鳴気が出ることがあるのです。引火したら大変です。
ヨーシャフトから出ているケーブルの赤、クロにVVFケーブルの2ミリ径の単芯から作ったピンを取付けます。ピンの長さは4センチほど、先はヤスリでとがらせました。ちょうど手元にあった最大の圧着端子が8ミリだったので、それをかぶせて圧着工具でカシメます。ツメつきの圧着端子だったのでニッパでツメを切り取ってしまいます。それをすこし曲げて加減しながらマストの穴を通します。マストの穴からケーブルを引きだしたらピンをまっすぐに直しておきます。開けたての穴のヘリは鋭利なので被覆を痛めないように注意します。
そうしたらいよいよ本体を取付けです。マストと発電機の取付け部のあいだに挟む付属のラバーは少々扱いづらいので、切って2ピースにしてしまいます。少々切り詰めたほうが扱いやすくなります。グリーンの筐体からくるアース線の先端はハンダメッキをしたあと、ハンマーで一撃して平たく潰します。マイナスのドライバーの先端をラバーの下に突っ込んで、マスト表面の塗装をゴシゴシとこすってはぎ取り、その部分に平たくしたケーブルの先端を突っ込みます。2センチほどは入ったでしょうか。そうしたらAIR に付属のアレンキーでぎちぎちに締め込みます。これで本体がマストに固定されるとともにアースがとれるはずです。取付けは発電機が万が一にもはずれない、万一はずれても落下しないように考えておかなければなりません。雨がふりそうだったので、水中ボンド(シリコン系の水中でも固まる充填接着剤)でマストのケーブル穴を塞いでおきました。これをしないとマスト内部に水がはいって寿命を縮めたり、鋭利な穴の縁でケーブルを痛める可能性を回避します。この目的にはエアコンの穴をシールするパテなども使えそうですね。
マストに本体をとりつけたら、赤、クロのケーブルの先端のピンをそれぞれ切りっぱなしになっているブースターケーブルに芯線に突っ込んで繋ぎます。被覆を傷つけないようにしながら芯線との接触を保ちつつ、圧着端子がブースターケーブルの芯線に触れるまで奥まできっちり差し込みます。ブースターケーブル自体は取り回しがいい様に柔らかいので、意外に簡単に奥まで入っていきます。その上から、外コンセントなどの電線をコンセントのゴムカバーに取付けるための押さえ金具で締め込みます。押さえ金具はブースターケーブルの被覆を5ミリほど出した位置に固定します。これで少々引っ張ってもびくともしない接続ができました。ビニルテープ、エフコテープ、ビニールテープの順番で絶縁し、赤、クロがマスト外周の正反対の位置に来るように結束バンドでとめました。テープ類は十分に引き延ばしながら1/2ほど重ねながらぴっちりと巻いていきます。万一、発電機本体がマストから外れたときはケーブルでぶら下がりますから、そのあたりの強度も考えて結束バンドは多めに使います。また、バッテリ側の鰐口はバッテリには繋がずにお互いを噛みあわせてショートしておきます。
そこまでで休憩。お昼となりました。午後は大技の連続です。しっかり食べて人間の方にも充電です。
ドライコンクリートの半量をトロ舟にあけます。この製品はコンクリートに砂、砂利がすでに混入されていますから、規定量の水を加えて練ってやれば即使えます。コンクリートを混ぜるトロ舟は買うと高いので、クルマ用品売り場で980円で売っていたリブ付きのプラスチックの箱を使いました。リブのたくさん入った強度と厚みのある製品を選ぶのがポイントです。15キロぐらいの分量なら十分に扱えますし、洗えば奇麗になってしまうので、何度も利用できます。素人的にはなんでも流用、これが基本です。
雨水タンクから水を汲みだし、コンクリートを練ります。園芸用の小さなスコップというかコテというか、でまんべんなく切り混ぜます。使った水は酸性雨かもしれませんが、マストの支持に土圧を利用するのが今回のポイントなので、水道水はもったいないから雨水を使いました。たった1.75リットルですが、ささやかな環境への貢献です(笑)。
マストの下部から数センチのところに足場鋼管組み付け用の金具を取付けました。助っ人のアイディアです。これを「捨てアンカー」としてコンクリートの中に埋めてしまえばその凹凸でより強固にコンクリートとマスト最下部が一体化すると言う寸法です。さすがは頼りになる助っ人です(パチパチ)。コンクリとマストの下部の処理をしつつ、一方で、重量ブロックの穴を利用して針金で結束します。2つのブロックでマストを挟み、マストを穴にたてます。プラスドライバーを差し込んで針金をねじって締め上げます。あまり強く締めるとブロックが割れてしまうので、加減します。ブロックを扱うときは皮手袋をしないと擦りむきます。片側を4,5センチの間隔になるようにゆるく結束して穴の中でマストを挟み、反対側を結束します。ブロックで仮押さえした状態でだいたい垂直になるようにして、どっとイッキにコンクリートを流し込みます。さらにその上にもう一組のブロックで同様にマストをサンドイッチし、今度は下のブロックと直行するように設置します。これで四方から面で土圧を受ける構造が出来、マストとは線接触することになります。この状態で重りを使って鉛直を出します。今回は鉛直を出すための治具を持ってきてもらいました。まったく頼りになる助っ人です。マストの鉛直が出たらテレビのアンテナの支線に使うプラ針金とペグとを使って鉛直がブレないように仮のステーをとります。コンクリートが固まりさえすればテコの支点となり土圧をブロックの面で受けてマストを安定させようというオリジナルの試みです。
次いで穴に6号砕石を入れます。木づちと棒などを使って突き固め、ぴっちり充填していきます。この上に残った半量のコンクリを流せばカンペキなのですが、やはり撤去するときのことを考えてほりあげた土を戻すことにしました。マストの基部の塗装を痛めないように注意します。言葉では言い尽くせないのですが、こんな感じです。
今度はバッテリ周りです。
ベランダや屋外に灯油ポリタンクなどを収納するストッカーが安価で耐候性もあるので、バッテリ収納室にします。ドリルでフタのあたるへりのところにちょうどケーブルが通る2本の切り欠きを作ります。10ミリのドリルで空けた穴の上部を金切りばさみできりとりケーブルをはめ込みました。被覆もストッカーも樹脂ですので、特段保護は行ないませんでしたが、2本の距離は少しあけてあります。少々強度は落ちますが、それほど移動するわけではないので、良しとします。このストッカー、雨は防ぎますが、それほど機密性がないのがバッテリの充電時に出る爆鳴気が溜まらないで良いのではと思っています。充電電流が適正であればほとんど爆鳴気は出ないのですが、電極表面で分極が生じたり、過充電状態になると水の電気分解が起こります。ですので気密にしてはいけません。少しでもすき間があれば、分子の大きさの小さな水素はかなりの速度で拡散してしまうはずです。酸素は窒素より重いのでひょっとするとケース内に滞留して危険かもしれないので、様子をみて換気対策を講じる予定です。インバータを内蔵するためのスペース、さらにバッテリを増やすことも可能ですので、安全を考えながら増設していこうと考えています。もちろん、充放電の感触がつかめたら充放電コントローラの増設なども考えることにします。バッテリは自動車用の安価なカルシウムバッテリの同一銘柄をL型とR型を2個ずつ手に入れました。本来ならフォークリフト用、電動カート用、船舶用、航空機用などのディープサイクルバッテリという大電流で充電することができ、なおかつ過放電に強いという蓄電池を使うべきなのですが、大変高価なうえ、やはり長期にはへたってきます。ならば、初期コストを抑え、過充電、過放電に気を配るほうがよさそうと、敢えて自動車用バッテリを選択しました。バッテリターミナルは++、+-、+-、--と組みにして商用電源の屋内引き込み線の切れ端を2重にしたものの両端に取付けました。この電線は工務店に頼んで新築現場から不要な切れ端をもらっておいてもらいました。単体で50アンペアは流せますよと電気屋さんが言っていたそうです。ですので二重にすれば100アンペアの容量が稼げます。電流は回路の最も弱いところに集中しますので、配線の容量を揃えることはイワシの頭より随分意味があります。配線が終わると、2つ直列になったバッテリが2組並列になります。最初、プラス端子の方が少々大きいことを失念していて慌てました。バッテリーの端子にはグリスを少量塗り付けてからターミナルを締めつけていきます。これは端子が塩を吹いて接続が悪くなることを避ける方法として自動車工の間で伝わっているワザです。
ブレードをハブに組み付けます。マニュアルの図にはワッシャーが入っているのですが、ナイロン付きロックナットに変更されてワッシャーはありませんでした。発電機のシャフトにもワッシャーは入りません。付属のアレンキーで3枚のブレードをハブに止めたら、それを持って三脚を登ります。くれぐれも発電機の出力はショートしておくようにします。そのときバッテリをショートしないように。当たり前のことですが、バッテリのショートは危険です。まだ、100アンペア容量の配線でヒューズが入っていないのですから。端子の上にボール紙でも乾いたタオルや軍手など置いておくだけでも事故を防げます。
風の無い時であっても、いつ突風が吹かないとも限りません。また、安全のために尾翼の穴にヒモを通して風向制御を殺しておくほうがいいかもしれません。幸い、無風だったので、手早くAIR 本体を捕まえて組み上がったブレードをはめ込み、シャフトの回転をアレンキーで止めつつ24ミリのナットを締め込んで固定してしまいました。そのあとスピナーという樹脂製のコーンを中心にとりつけて完成です。よくみるとブレードとスピナーのすき間がまちまち。ちょっと笑える精度です。ついで、バッテリ端子に鰐口をかませます。プラスをプラスに、マイナスをマイナスに繋ぎます。逆に繋ぐと本体内部のチャージコントローラーを壊します。このクラスの風力発電機にこそ逆電圧保護が必要だと思うのですが、コストとのかねあいなのでしょう残念ながらついていません。マニュアルにも書いてありますから、注意して作業するしかなさそうです。
これで最も簡単な風力発電システムの出来上がりです。日没が近づいたので、ストップスイッチとヒューズの配線は後回しになりましたが、ヒューズは危険防止の意味でも必須なので、出来るだけ早く対応するつもりです。ストップスイッチは当面鰐口クリップを直接噛みあわせることでも良さそうです。長期的には鰐口クリップでは不安なので、ターミナルに供締めして「美しく」する予定です。
仮にインバータを繋いでインバータ蛍光灯をつけてみました。新品のバッテリなので点灯して当たり前なのですが、ね。
これで10万円ちょっとで立派な個人風力発電システムが設置できました。太陽光、雨水、風力を利用することによって、いろいろな天気を楽しむ愉悦を手に入れることが出来ました。どうです?あなたも是非やってみませんか?お天気が楽しい、を共有しましょうよ。
最後に、終日作業を手伝ってくれた風力発電仲間の伊藤さん、ありがとうございました。息子(6才)とあーちゃん(9才)コンクリート捏ね、ねじ回し、砂利いれほか道具をとってくれたりとたくさんお手伝いしてくれました。最後はトロ舟で泥んこ遊びになっちゃったけどね(笑)
また、いろいろなアドバイスをいただいたノースパワー社のくさかべCEO、また同社の主宰するPPPメイリングリストに参加する強力なメンバーに心から感謝いたします。また、当日の昼食など持ち寄ってくださった伊藤さんの奥様、そして妻にも謝意を表します。
この模様は2001年1月9日発売の隔月刊日曜大工雑誌DoPa!20号に掲載されました。
ドゥーパ!誌のフォローアップ
ハイブリッドソーラハウスはチリウヒーターのシステムです。施工はいまや風力発電仲間となった、つくばの自然素材と長寿命住宅にこだわった工務店、ワカバハウスです。コストを下げつつ自然素材を上手に取り入れた高気密・高断熱計画換気の在来工法注文住宅を手がけています。外見は普通に、水道管を含めてすべてアクセッシブルな内部は高性能 ;-)部品の写真がありますが、ハブの周辺に有るL字型の金具は ノースパワー社に依頼して作った自作ブレード用の特注アタッチメントで、アースグッズワールド社の準備する部品ではありません。
切断したブースターケーブルに差し込んで止める部分のアップの写真の説明では「圧着スリーブ」になっていますが正確には圧着端子を圧着スリーブがわりに使う、です。これで「ピン」を接続し、ピンの部分をブースターケーブルに差し込むわけです。あとでメンテナンスが可能なように繋ぐという私のオリジナルアイディア、です。実際に繋ぐときにはニッパで端子部分を切り飛ばしてしまいます。
イラストではペグが鉛直に打たれていますが、ステーのプラ被覆針金と直角をなすように、かつペグ先端がマスト中心線を向くように打ち込むのが理想です。 また、マスト地中部でブロックを針金で仮固定していますが、ぎちぎちに締め込むと鋼管を支点にしてブロックが割れてしまうかもしれませんので程々に。頼りにするのはあくまで「土圧」です。これが私のオリジナルの考え方です。
AIR風力発電機の総輸入元のアースグッズワールド社に「交換させた」と書いて有りますが、「交換してもらった」というか「交換して頂いた」という感じでした。もともと、ESI社としてウエッブ上でアースグッズを販売していましたが、風力発電機探索中、ウエッブショップと質の異るコンセプトのコンタミを気にして私がメイルを出したのに端を発して(か?)、ショップに特化した(有)アースグッズ社が設立されました。その後、(株)アースグッズワールド社になっています。これが私の風力発電機探索から設立までの間に起こりました。EGW社とは個人的にも良い関係で居たいものです。
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こんな感じで楽しく運用中!!
小型補助充電パネルを追加(24V 6W、9,960円)
TGM-250 24V Power(Max) 8W Voc 32V
Isc(Max) 250mA 64 cells 402 x 259 x 25 mm, 1.4 kg 汎用整流ダイオード10D1を介してバッテリバンクへ。
これで内部放電とタービンの暗電流を補償出来ます。
いまのところオンサイトで電動工具、ノートパソコンの充電に利用しています。これだと雨の降っていない日で近くで庭仕事や日曜大工しながら待つ、っていう使い方ですね。道行く興味を持たれた方との雑談タイム、でもあったりします(笑)
コスト計算は...ちょっとしたくないです。まぁ、お天気が楽しいってことで f^^;;;
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安い個人用のタービンの種類がもっともっと有ると良いのですが...
2001.10.12付記 個人風力発電の興味をお持ちになっている皆さん、開店休業のゲストブックを掲示板としてご意見を頂けませんか!?いくらぐらいなら、買っても良いとか、どんな風車が欲しい!とか。で、できれば働き掛けて、どこかの会社にお願いして作ってもらっちゃいましょう!→ゲストブックへ GO!!
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エピローグ:
翌日、丁度来日中だったスウエーデン人の友人が雨の中、ヘリーハンセンの雨具を着て自転車をこいでやってきました。グラッグという自家製の香味酒を一ビン抱えて。スウエーデンの12月の寒い夜に暖めて飲むお酒です。ひょっとすると本邦初公開のオリジナルグラッグのレシピを載せておきます。風邪の予防、寝酒にどうぞ。え?私?私はもちろんショットクラスに注いで電子レンジでチラリと温めたその香味酒を風力発電機を見ながら楽しみました。