壁というのは広い面積を占めますから、住まいではとても重要です。糊が乾くとき、塗装が乾くとき。もしも壁から長期間にわたって人工化学物質が揮散しているとしたら...
ここでは天井を含めて壁と壁紙の変な世界と私の選択をまとめておきます。大体壁紙は紙ではないのである。
紙の壁紙はメーカーが壁紙と言っている製品は大体が加工性耐久性のよい塩化ビニル製です。塩ビは燃やすとダイオキシンが発生するというので、正確にいえば発生する疑いが有るというので、注目を集めていますね。それだけではなく、擬環境ホルモン物質としてマークされているフタレート、つまりフタル酸エステルを多量に可塑剤として含むはずです。子供部屋の可愛いプリントの壁紙から環境ホルモンが長期間にわたって揮散する...もし計画換気でない高気密住宅だったら...これはもう施工者と親の責任です。建て売り住宅なんて怖くて買えませんね。買ったとしてもすぐに壁紙を剥がしましょう。壁紙は塩ビ製で無いものの方が少ないから、特別に何とかポリマー壁紙とか、本末転倒に紙壁紙とか言っています 。
私が欲しいのは自然素材の壁紙で、できれば調湿機能があるものです。もちろん、防汚処理などの目的で表面は薄く樹脂でラミネートしてあるのが普通ですから、多くの場合、紙壁紙でもプラスチックを使っていないわけではありません。注目のケナフ壁紙も樹脂でラミネートされて調湿機能はありません。しかし、森林資源に負担をかけないというメリットはあります。でも、一年であんなに育つケナフを植えたら、そのあと土地が痩せてペンペン草も生えないんじゃないでしょうか。炭素循環はそれほど単純ではないからです。
調湿機能を持たせるためには、ラミネート無しの紙壁紙たとえば和紙や月桃紙など、あるいは不織布や布製クロスが必要です。クロスというのは布の英語ですから、先の紙壁紙とあわせて壁紙業界というのはとことん迷走しているような気がします。しっかりと生産物に責任をもって廃棄されるときのことも考えた製品作りをして欲しいものです。なんといっても、私のように耐久力では劣るくせに割高で扱いも面倒であっても自然の健康素材が欲しいという消費者も居るわけですから。壁紙は張り替えるもの、これでいいのではないでしょうか。
気になる抗菌剤が重金属を使っていないか、などは調べられませんでした。もっとも調べられたところで長期間の暴露についてのデータはあるはずもありませんが。RALやISM規格を取得しているから安全、という論法は成り立ちません。ISMにより生産された塩ビ製壁紙(おそらく擬環境ホルモンを含む)があるのですから。
2000.07追記 通気性壁紙を天井に
通気性の壁紙が有れば外断熱で躯体内を流れる気流と多少なりとも空気のやり取りができそうです。しかし、通気性壁紙はラミネートがしてありませんから、弱く汚れやすいのです。そこで天井にだけ使うことにしました。主に珪藻土壁紙という通気性を保証し、気持ちばかりの珪藻土の調湿作用が期待できないわけでもなくはないぐらいちょっぴりはあるであろうという壁紙を選択しました。この手の素材は伸び縮みが激しいので、クロス貼りの職人さんが気にしていました。ですので、突き貼りではなく重ね貼りにしてもらいます。今、出来る最良の方法で施工してくだされば、問題が生じたとしてもいずれ壁紙は張り替えるものと心得ているからと伝えたら、安心したようでした。文句をいう人がいるのでしょうね。木でも布でも紙でも、みな伸び縮みするのは自然の道理です。調湿機能のある壁として土壁があります。伝統的なのは漆喰壁ですね。調べていて魅力を感じたのがタナクリームです。これは田中石灰工業が自分で施工も可能な薄塗り土佐漆喰といして最近製品化したもので20キロで15平米塗ることができて8500円のリストプライスです(2000年2月現在)。生石灰クリームという一般名称を使っています。着色も砂やスサの混入も自由で、漆喰の半分以下の薄塗ができます。それも鏝、刷毛、ローラーなど自由度が高いのです。これならちょっとならって自分で塗ってみたくなります。しかし、私のつきあって頂いている工務店は自社で責任を持ちたいという大変に使命感の強いところですので、それができるかどうか分かりません。左官職人さんの人件費は材料代をマスクしてしまうほどでしょう。しかし、調湿機能有り、もともとフレスコ画の下地ですのであとでステンシルなどして楽しめそうですから魅力的な素材です。
2000.07追記 漆喰と生石灰クリーム、そして薩摩中霧島壁。
和室の壁は壁紙という線でいこうと妻と工務店に要請したのでしたが、どこで情報が行き違ったか、和室には他と異なる凸凹の石膏ボードが貼られていました。それ以前に、和室だけ躯体の柱が見えてもいいように仕上げてあることに気がついていればよかったのですが、見過ごしていたのです。砂壁も見せる柱もコストアップの原因です。柱が見えると税評価も高くなってしまうのです。なんと、当初の見積もりの中で削ったはずの砂壁がいつのまにやら復活していたのです。水掛け論をしてもいけないので、塗り壁とモルタルを塗って平滑にするか、はたまた砂壁用の石膏ボードの上に壁用の石膏ボードを貼り直して壁紙にするか...工務店のオファーです。ずいぶん悩みました。今からではどれもコストがかかるからです。
しかし、柱をみているうち、洋風の漆喰壁が頭から離れなくなってしまいました。漆喰は二酸化炭素を吸収しながら固まります。お、いいじゃん。地球温暖化防止。いやちょっとまてよ。漆喰ってのは焼成して作るんだった。だから焼成時に抜けた二酸化炭素がもとに戻るだけではないか。ならば焼成のエネルギーはもったいなかろう。漆喰壁ならあとでタナクリームを自分で塗ることも出来そうです。ちなみに「しっくい」は「せっかい」の中国語に由来する兄弟分ですから、生石灰クリームも製造時にエネルギーを消費し、二酸化炭素を放出して製品となります。う〜ん、こころは千々に乱れます。そこで、また、ぶらりと社長の登場です。これでどうかな?持ってきたサンプルは薩摩中霧島壁(さつまなかきりしまかべ)。吸放湿機能あり。消臭機能有り。出来たばかりのウエッブサイトをみると、どうやら多孔質火山灰土壌ベースの土壁です。これなら採掘してちょっと混ぜ物をいれて加工するだけです。焼成は火山がやってくれています。ですからコストは押さえられるはずです。しかし、ウエッブやリーフレットにある消臭曲線をして消臭機能なんて言ってよいのか疑問が湧きました。多孔質の吸着機能、たとえばゼオライトによる匂いの吸着と同じだったら?熱を加えると匂いを吐きだすのでは?弱アルカリ性というから酸性の、たとえば酢酸(臭)とは化学反応を起こすかもしれませんがすべての匂いに効くのでしょうか。
そこでなにはともあれ問い合わせてみました。するとほどなく簡単なレポートがファクスで送られてきました。私の観るところ、残念ながら科学的裏付けとなるデータは全くなかったのですが、吸着と分解の両方によるらしいです。分解反応は含有される酸化チタンによる光触媒反応です。これはTOTOのハイドロテクトと同じ原理ですが、やはり、酸化チタンに紫外線が当たると「活性酸素を生じる」と言うことが素人相手には天下の悪者活性酸素と取られるのを恐れてか、活性酸素とはなんぞやという説明の別文がついていました。
そんな、原子状酸素なんて体内に生じて酸化反応するから老化の原因だとか取りざたされるんで、アルデヒドなどの臭気物質に対して化学反応するってことだけで私は良しとしました。ちなみに酸化チタンは微粉末になると真っ白く見えて被覆力が強いので、お化粧のファウンデーションや練り歯磨きに入っていますよ。で、この6月からやっと使えるようになった、という薩摩中霧島壁を所望しました。壁紙の洋室のような和室を考えていた妻ですが、一部屋ぐらい子供たちに注意させる部屋があってもいいじゃないか、と私に説得されてくれました。ということで、押し入れが洋風折れ戸がついているのでちょっとちぐはぐですが、白っぽい土壁が施工されることになりました。
|自立住宅(旧)|2000.02|Mod. 2000.07