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| 矢内原氏のジャコメッティの本を二冊買い込んだ。読み始めると思わず身を乗り出してしまう。そんなんだから読んでる最中に体ががちごちになっている。電車の中で読みながらむふふと笑ってしまう。きっと周りの人から見たら、私は気持ちの悪い人に違いない。 虫の話、もう、主治医にしかできない。主治医以外の一体誰がそんな私の話をまともにとりあってくれるというのか。私にとってそれはどうしようもなく現実であって、私の世界の中で起こっている本当の出来事であって、それ以外のなにものでもないけれども、そんなものを見たことがない人間にとって、そんな私の世界は、決して共有できるものではなく。何処までも何処までも平行線を辿る線路のような話であり。いやそれどころか、この隔たりはどんどん大きくなっていってしまうかもしれないような類の話であり。 主治医が強めの薬に変えてくれても、一回くらいはそれで補えても、すぐに私の幻視が薬の効果を越えていってしまう。先週も先々週も、そして今日ももう少しもう少しと強めの薬が処方される。今日のものは、幻覚を消す作用があるから、でも、人によってとても危ないから、場合によっては診察を待たずにすぐ連絡をちょうだいね、と、先生の言葉。 虫が、見えても、いい。いや、見えない方がもちろんいいのだけれども、見えたってもう、いい。見えてもいいけれども、私の愛する者たちを侵さないでくれ、と、今はもう、ただそれだけを必死に願う。 友人から思ってもみないクリスマスプレゼントが届く。彼女は、いつも、自分が大変だという時でさえこちらを気遣い、いろんなものを届けてくれる。娘はもうすっかり彼女の名前を覚え、AさんAさん、と繰り返し言う。ばぁばやじぃじに、これ誰に買ってもらったのー?と聞かれると、Aさんっ!と、鼻高々に答える。この間は、じぃじばぁばが買ってくれたパジャマに対してまでAさんからもらったの!と答えてしまい、大慌て。じぃじばぁばはショックを受けていた、笑。 クリスマス、あぁ、クリスマスなのだな。振りかえる必要なんてないほど、まさに怒涛の一年だった。 そして。 来年の一月。私は十年目を迎える。事件から十年。PTSDを抱え込んでから十年。私はもう十年も、それらと共に生きているのか。 どう考えたらいいのか分からないけれど。 十年。 私のこの十年。 それは… |
| 2003.12.22 Mon. |
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