トラウマを持つドバト

1999/05/10.

「大人なのにほとんど自分で豆粒をひろうことができないんです。

出会ったのは2年前の7月でした。バスセンターの人ごみの中で 踏まれそうになりながら逃げ回っていました。まだくちばしの毛が生えてなくて 羽根もすっかり汚れてしまってて たまらなくなって母とうちへ連れて帰ったんです。

鳩の育て方は分からないし、獣医さんに通いながら社会復帰を目指していました。ダンボールでしばらく飼っていましたが、そのとき足元にエサをまいても食べないので ねりえさをスポイドであげていました。それからすぐ右羽根を骨折してしまいました。ほんとに可哀相なことをしてしまったんですが、鳥かごの中でパニックになってしまったんです。それで一ヶ月半包帯でぐるぐる巻きでした。それからもずっと豆粒を食べようとしないし 食べないと弱るのでねりえさを食べさせていました。飛べなくなってしまいました。

病院をかえて ねりえさをやめて 今は一日に3.4回豆粒を口の中に入れています。そうしましたら 少しずつひろえるようになってきて今は米つぶやクッキーなら少し自分でついばみます。お腹がすいたら自分でエサを食べようとしますが、口に入るのはほんの少しです。どうして自分で食べることを出来なくさせてしまったのか分かりません。

うちのドアホンが鳴ると 誰よりも早く玄関へ行ってお客さんをチェックします。手拍子をすると 羽ばたきをします。ほんとうにかわいいです。社会復帰をさせてあげることが出来ませんでしたが、せいいっぱいかわいがっています。」

こんなに可愛がってもらえるドバトは、私が知っているだけでも2〜3件です。心があるのは、人間だけではないのです。この事も、よくわかっていただけると思います。この鳩は、親からまだ餌を口移しでもらうときに、巣から落ちてしまい、とても怖い思いをして、その事と、そのあとにとても可愛がってくれる人が居たという事で、甘えているんだと思います。どうして餌を食べられなくなったかと言う事は、詳しく分析する事は出来ません。でも、雛の頃のトラウマだという事はわかります。

恐怖を感じさせないように、ただただ安心して暮らさせてやるという事しか出来ないと思いますが、動物だからと言って、本能だけで暮らしているわけではなく、恐怖を感じたり、愛情を感じる事は出来るので、それがまた可愛くてかけがえの無い存在になっていくという事を言いたくて、ここに載せさせていただきました。

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