僕には居場所が無い















「僕の誕生日はどうして四年に一回なんだろう」

「え?閏年に生まれたからっしょ?」

「うん、そうなんだけどね・・・」















僕は今から15年前の2月29日に確かに生まれた筈なんだ。

筈なんだけど。

今年2月29日なんてものは存在しない。















「僕ってほんとに生まれたのかなぁ?」

「何突拍子も無いことゆってんの?」

「だって誕生日ってさ・・・僕が生まれた記念と母さんが僕を生んだ記念の日でしょ」

「うん」

「それが無いんだよ。15年前は確かにあったのに今年は無いんだよ。

 いいさエージは11月28日だもの毎年あるから。

 僕は四年に一回だよ。どうすりゃいいのさ」

「どうするもこうするもないと思うけどにゃ」

「もー、人が悩んでるのに真剣に聞いてってば」















何だか割り切れないんだ。

まるで僕だけ一年に締め出されたみたいで。

2月28日だって3月1日だって僕の誕生日じゃない。















「僕の誕生日は2月29日なんだよっ。何で毎年無いの何で」

「そんなの暦を決めたやつに云えばいーじゃん。誰だっけ、グレゴリオさん??」

「そんなの知らない。死んでるでしょもうその人」

「まあね」

「うー・・・・」

「・・・・・・」

「もー、割に合わないよ」

「あのさぁ!」















いきなりエージが大声を出した。















「何」

「要するに不二は悔しいんでしょ、羨ましいんでしょ」

「誰が」

「えーと、普通に毎年誕生日がある人たち」

「・・・・・そーだよ」

「じゃあ自分で勝手に決めちゃえば?」

「何を?」

「誕生日」

「はぁ?」

「ほら、名前とかでも自分でつける人居るじゃん。不二も作れば?自分の誕生日。・・・代理の日」

「何・・・・エージバカじゃない?」

「バカ!?」

「んなの無理に決まってるでしょ!僕の誕生日は2月29日!それを勝手に変えるなんてことはねぇ、

 東京オリンピック記念の10月10日体育の日を10月第三月曜に変えるのと同じくらい不毛なの!」















そういえばオリンピックのある年は閏年だ。関係無いけど。















「出来るわけ無いでしょ」

「うー・・・例が良く判んないけどその通りのような気もしてき、た・・・」

「もぅ・・・エージってば凄いこと言い出すんだから余計頭が混乱してきた」

「名案だと思ったんだけど」

「別の人に云ってきてよ」

「・・・・・・せーっかく、『真剣に聞いて』って云うから真剣に聞いて考えたのに」

「そりゃあどうもすいませんでしたね」

「・・・・・・」

「はぁ・・・」

「・・・・不二・・・」

「何」

「無いもの強請りって、してもしょうがないんだよ?」

「・・・うん。そうだけどさ」















待ってれば2月29日は四年に一度やって来る。

待ちきれなくて喚くのは、やっぱり幼い証拠かなぁ・・・。














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7400ヒッツ倉枯わたこさまへ。

題名がえらい暗いです。

二千一年:六月十五日:金曜日




ダイスキなサイト様、少女イグノラント様の矢野茜様の御小話で御座います。
キリバンとって貰っちゃいましたvv
リクは勿論菊不二で!!(笑)誕生日ネタを頼んだところ(時期はずれもいいところ)こんな素晴らしい文を書いてくださいました!
本当にありがとう御座います!涙が出るほど嬉しいです!!
ちょっぴり我が侭な不二先輩と其れに振り回される菊丸君がいいです!!!

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