■■傷口からこぼれ落ちる七色のジェリービーンズ■ |
(番外編) (→『葡萄姫』) 水。 したたる水。 ミズノオト。 ぴしゃり。 いつでも堪えることなく聞こえる。 ミズノオト。 水。 ぴしゃりぴしゃり。 ひっく、と小さくしゃくり上げる不二の頬に、菊丸はくちびるを寄せる。 やわらかなそこを噛みちぎったら、きっとどんなにか気分がいいだろうと想いながら、 ちゅっと音を立てたキスを送る。 「不二、いつもこんなふうにしてるの?」 呆れたような声に、不二はふるふると弱く首を振る。 内にあるものを締め付けてしまうのを恐れるように。 やわらかな薄茶の髪はその度に、ひんやりとした床を打った。 服を四肢にからみつかせるようにして、廃院の奥で犯される。 手塚を殺した、あの場所で。 遠く雷鳴を伴って、雨音が響く。 耳の奥で。 止まないミズノオト。 誰かに触れられるたびに、幾度も。 ぴしゃり。 「…ここじゃやだよ……お願いだから」 弱い手で押し返そうとする不二の手を取り、その指先に口づけると菊丸は薄く嗤う。 「ダーメ。いちいち場所なんか気にしてちゃ、ちゃーんとオシゴト出来ないでショ。 まだまだ足りてないんだから」 貸し分にはさ、と言いながら乱暴な仕草で不二の下肢に絡みついていたパンツを下着ごと抜き取る。 薄暗い廃院の中、罅を入れ歪んで汚れた半地下室の窓から透かす光は 微妙な乱反射を起こして、白い膚にぼんやりとした淡い葡萄色を投げかけていた。 「ショーバイなんだからさ、もっとちゃんとお愛想しないと」 「…英二」 咄嗟にきゅっと脚を閉じようとする不二に、それに先んじてぎゅっと先端を握り込むことで動きを制した。 「痛…っ」 痛みに思わず不二の瞳から涙が一粒落ちる。 ぺろりと菊丸の舌はその涙を舐め取った。 「100万くらいだったよね、今まで不二が稼いだの。 プライヴェートは不二の勝手だから別としたってさ、 オシゴトで知らない男20人くらいにされてきててまーだこんなじゃ、 そろそろ金額落として頭数で稼がなきゃにゃんなくなるよ?」 俺はそれでもいーけどさ、と続く言葉に慌てて不二はかぶりを振る。 「……そんなの、やだよ…」 「じゃ、ちゃんとどんなふうにオシゴトしてるのか教えてよ? ココで」 ひんやりとした空間に、不釣り合いなほど愉しい声で残酷な言葉が響く。 流れたはずの血の痕跡のない床。 綺麗に、何もなかったように。 水で流して、何もかもを消したように。 水。 ミズノオト。 ぴしゃり。 「…ひっ…あ、あっ」 遠慮のない律動に、掠れた悲鳴が上がる。 それは快楽よりも、悲痛が色濃い。 「ほんっとにこんなふうにオシゴトしてるの?」 不二の片脚を肩に乗せて、もう片方の脚の上に乗り上げ深く突き入れたまま、 菊丸は密着率を高めるように不二の耳朶へ顔を寄せた。 「…や…っ」 膝が胸に付く無理な姿勢は細い骨を軋らせ、苦痛を帯びた琥珀の瞳は菊丸を見上げる。 涙に濡れて、辛そうなまなざしはそれだけで充分に加虐者を引きつけるに足りたが、 わざとそれを見ない振りをして菊丸が囁く。 「これじゃつまんないでショ。いつまでもおすまししてないでちゃんと腰振らないと」 言葉と共に、うっすらと色づいた太腿の内側を打擲されて、細い躰がびくりとしなった。 「…英二…っ」 「ふーじ。聞こえない?」 再び叩かれるのに、長いまつげを伏せると不二はゆるゆると腰を動かし始める。 「…んっ」 「ホント。よーくこれで今までちゃんとオカネ払ってもらってたよね」 実のところ、このどれほど抱かれても物慣れない硬さと怯えたような顔がそそるとわかっていて、 菊丸はわざと揶揄するように肩をすくめる。 ぎちぎちと痛いほど食い締められるのに、束の間息を詰めて衝動を堪えると、弾みをつけてきつい箇所を抉る。 「いっつもどんなふうに犯されてるの?」 「や…やああっ」 根元まで差し入れたところで、そこから僅かも退かず先端でくるくると最奥を擦り立てた。 「こーゆーふうに奥まで突っ込まれてさあ」 「い、うっ…はああっ」 透明度を増す不二の悲鳴に、心地よさげに菊丸の口元が歪む。 琥珀の瞳はもうぼんやりと涙をこぼすことしかできない。 背を震わせるような、優越。 「…ま、鳴き声とカオは絶品だけど」 あくまでもその感想は押し隠して、菊丸は自分の指をくちびるに押し当てると キスの代わりのようにその指を不二のくちびるに触れさせる。 「…んっ…あうっ」 くちびるを探ってすぐに、くちゅりとあたたかな舌が絡むのに小さく嗤って。 「不二、かわい♪ もっと鳴いてよ、ジンジンしちゃうから、俺。すっげ、キモチイイ」 「ひ…あ、やあっ」 葡萄色の光が滲む細い躰を揺さぶられて、不二の口から止められない悲鳴が洩れる。 ミズノオト。 いつまでも耳に響く。 ぴしゃりぴしゃり。 水。 逃れられない音。 誰も助けてはくれない。 “キリストみたいに静かに祈っても神様も救いも奇跡も届かない” 響く音。 ぴしゃり。 E. |
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