真冬の、ピンと張り詰めた空気が好き。

万物が息を止めたような静寂が好き。

耳が痛いくらいの静けさは、音の無い世界は、

只只あのひとを思わせるから。




















三年生になってから、もう大分過ぎた。12月のこの時期にはもう部活はなく、慌ただしい空気の中をいつも帰っていた。テニスコートに目をやると、懐かしい連中が懐かしい練習をしている。一年前の今頃、自分は確かに其処にいた。其のことが妙に大切に思えた。






手塚は自分の机からぼんやりと外を眺めていた。白く曇った窓を片手でこすって、外を見ていた。

空は既に暗くなり始めている。冬至が近いからだろうか、最近やけに日が暮れるのが早い。明かりをつけないで居る教室も、廊下からの木洩れ日でうっすら見える程度だ。
明かりをつける気にはならなかった。

「今日は積もりそうだね」

背後から柔らかい声がかかる。振り向かなくても解る。

「不二―――――」

窓側の手塚の席にまで近づいて、不二は曇りガラスに触れた。暗くても解るほど、手と、顔と、息が白い。いや、薄暗いからでこそ白が映えるのだろうか。零れた光を反射して、白く輝いているように見える。
雪のように白い手と、冷たさの所為で真っ赤に染まった指先の、赤と白のコントラスト。雪の上で殺された兎のようだと手塚は思った。何故だかそう思った。







「何故、解るんだ?」

不二は振り返らずに言った。

「雪が積もる夜は、音が全く無いんだよ」

不二が息を吐く度に空気が白く染まる。

「静かなんじゃなくて、音が無い。
この広い世界にひとりで居るんじゃないかってくらい、音が何も無いの。」

ガラスに触れたままの赤い指先が雫を拭うように下に下りた。曇った部分と拭われた部分の境目から外が見える。いつのまにか雪が降り始めていた。

確かに静かだ――――と、手塚は思った。さっきまで感じていた学校独特のせわしさはもう何処にも感じられない。息を止めたような静けさだと、手塚は思った。

「だから」








不二は無表情で振り返って、手塚を見た。

「君に逢いたくなったんだ」







外に降る雪の所為で、先ほどよりは教室があかるくなった。ちょうど月明かりのように、雪灯が不二の頬を柔らかく照らす。惟、綺麗だった。

手塚はゆっくり立ち上がって不二の前にたった。そして未だガラスに張り付いたままの不二の左手を捕る。それは刺すような冷たさだった。垂れ下がったままの右手も捕って、両手で包んでやると、不二が笑う気配がした。自分の手よりも大分小さい。一本一本がとても細くて、あまりにも手塚のそれとは違いすぎた。

「あったかい」
「そうか」

不二は目を細めて薄く笑う。

「ずっとこうしていられたらいいのに」

消えそうな声で、でもはっきりと聴こえた。耳が痛いくらいの静けさの中の小さな告白だった。万物が息を止めたこの世界で。

寒そうに肩を縮める不二を見て、手塚はやっぱり兎だと思った。
ひとりで居ると寒さで凍え死んでしまいそうなイメージ。或いは真っ白な雪の上で真っ赤に染まって倒れているようなイメージ。どっちにしろ、儚く、だからこそ美しい。

「だったら、来年の冬もこうして暖めてやる」
「――――ほんと?」
「ああ」
「再来年の冬は?」
「再来年の冬もだ」
「じゃあ、その次は?」
「その次も、其のまた次の年も、ずっとだ」
「ほんとう?」
「ああ、ほんとうだ」

じゃあ、雪が降っても、もうひとりじゃないんだね。そう云って不二は泣いてるように笑った。








冬が終わり、春が来て夏が過ぎ秋になって、そしてまた冬が来る。
其の時はきっと、またこうして二人でいるのだろうと、予感めいたものを手塚は感じた。予感を本当にする為に、冷たい手を握った。

耳が痛いほど静かだった。






























ドウゾお戻りください・・・・・






多分、もう一生塚不二はかけないと思われます(死)
つ、塚不二って、む、難しいのね・・・・・・・・・!!私、塚不二小説かける人本当に尊敬します。(いや、もう本当に)
塚不二は好きなんですが、難しくて書けません。お初塚不二ですね!
でも、真冬ネタは書きたかったんで、かきました。(だって、このネタ、菊丸君じゃあちょっと合わないんだもんっ!)先輩がしーろーいーーーーーーー。


でも、疑問点がひとつ。文章がわけがわからないのはいつものことなんで、其れは置いて置くとして、(オイ)



東京って、雪降るんですか??(しかも十二月に)(しかも冬至前に)
しかも積もるんですか????

建物の中でも、息が白くなりますか??(うちの学校はなります)

私らの住んでいるところはそりゃあもう積もるので、そっちよりの感覚で書いちゃったんですが・・・・・・(死)

あ、でも、でも、私雪は好きなんですっ!積もるときって、本当に静かなんですよ!で、朝目が覚めると一面銀世界。
去年はなかなかすごかったので、とっても大変でした。(笑)