* 三月初めのショートストーリー *





0229・B










「先に部屋に上がってて!食べ物もらってくるね」

主の居ない部屋に、手塚は堂々と陣取って座った。手塚にとって不二の部屋は自分の部屋と一緒。いや、むしろ自分の部屋より居心地が良いかもしれない。ずっと昔から知っている部屋だから、手塚はどこよりも安心できた。

窓側におかれた仙人掌。ぎっしり詰まった本棚。勉強机にしてはあまり使っている形跡の無いパソコンの置かれた机。どれもこれも昔からの住人だった。
手塚はそれらをみると気持ちが和んだ。「ここだけは昔と変わらない」

ふと、テーブルの上の本に目が行った。分厚いハードカバーの本が、何冊か山積みにされている。

「まったく、また出しっぱなしにして――――」

不二は別に綺麗好きなわけではなかった。部屋はこざっぱりしているが、それは不二が持ち物に執着がなく、部屋の物が増えないだけであって、手塚のようにこまめに片付けるわけでもなかった。

手塚は本を本棚に戻そうとして、手を止める。本の間に、何か挟まっている。紙のような厚さのもの。

なんだろう。
手紙か何かだろうか。

ページを捲って取り出してみると、それはしおりだった。そして手塚はそれに見覚えが有った。

画用紙を切った紙に、色鉛筆でサボテンの絵がかかれている。厚手の紙もくたくたになって、リボンのつけてあった穴は破れていたが、セロハンテープで綺麗に修正されていた。大分古い、一枚のしおり。

紛れも無く、手塚が不二にあげた物だった。

「まだ持っていたのか――――――」

小さかった頃から本が好きだった不二にあげた、一番最初の誕生日プレゼント。

「こんなにボロボロになっているのに、全くアイツは」

しおりをあった位置に戻し、本もそのままおいておいた。



 * * *



そしてまもなく、不二が扉を開けた。

「昨日のパイの残りで良いかな」
「かまわん」

「・・・・・・・・・・」

「あれ?手塚、なんか良い事有った?顔、笑ってるよ?」

傍から見てもわからない程度だったが、確かに手塚は笑っていた。不二は手塚の表情なら、誰よりも読み取る事が出来た。

「いや。それより、食べたら町に出よう。誕生日だろ、好きなもの買ってやる」
「え?いいの??」
「ああ」
「欲しいレコードがあったんだ」
「ああ」

「ふふ、手塚と出かけるのって、久しぶりだね」
「そうだな」
「ボク達、これからもずーっと一緒だよね」
「ああ」

間髪居れずに頷くと、不二は目を見開いて驚いた後に、思いっきり笑った。

「め、珍しいね、手塚!今日は一体如何したの?!」

笑い転げる不二に手塚は苦笑した。

「全くお前は、何時までたっても変わらないな」

呆れたように手塚が言うと、不二は「手塚もね」といってまた笑い出した。



 * * *



「不二、誕生日おめでとう」

そして二人は今年で10回目になる台詞を繰り返す。

「ありがとう、手塚」











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第三弾は部長さん。(笑)
もう、ノーコメント・・・・・・っ!






* こんなところで後書き *


第一弾から全部読んでくださった方、いらっしゃいましたら心からご恩礼を申し上げます。(日本語あってますか?(笑)

このシリーズ、実はちゃんと時間系列あるんです!
最初が菊丸君で、これは二月中旬ですね。誕生日について考えています。
それで、先輩が
「そっか、誕生日祝いなんて別にいつでもいいのか」
って考えたから自分の誕生日を忘れる(笑)
菊丸君も、俺、この前(二月中旬)祝ったし二十八日も一日も不二の誕生日じゃないし〜、と言って、当日とくに祝わなかった。
そして裕太と由美子姉さんに祝ってもらうっ!(二月末
そして次の日部活の皆に祝ってもらった後、(テストがあるからこの日は早く帰れた!部活も無いっ!)手塚に祝ってもらう。それはもはや小さい時からの習慣だった・・・・・・・。(三月初め!

というわけですっ!!!!(長っ!)

どうです、実にタイトルそのまんまでしょう!!!(泣き)

実はタイトル考えれなかったんです、一番最初のヤツが。ぐすん。

ちなみに手塚さんと乾さんと先輩は幼馴染推奨派なので(これってやっぱりわたしだけでしょうか/笑)三人で祝おうと思ったんですが、・・・・・・・・・・・無理でした(笑)

ここまでお付き合いいただいて、光栄です。うわーん!(泣き)

先輩、御誕生日おめでとう御座います!
わたし、皆になんだかんだいって甘くされてる貴方が大好きです!(笑)
いつまでも可愛く居てね!!!!!