Subject: Main Unix flavors.
>From: "Pierre (P.) Lewis" <lew@bnr.ca>
Date: Wed Nov 17 11:21:35 EST 1993
X-Version: 2.5

6.3) Unix の主要な流れ

最近までは、Unix には大きく分けて2つの流れがありました。それは AT&T から出た System V (five)と、Berkeley Spftware Distribution (BSD) です。 SVR4 は、本質的にはこれら2つを併せたものです。1991 年の年末には Open Software Fpundation による OSF/1 が (System V の直接の競合製品として) リリースされましたが (時間がたてばはっきりしますが) 流れをかえることに なるかもしれません。

AT&T の System V.
インテルチップを載せたハードウエアでは代表的なものです。最も移植された 実績の多い Unix で、一般に (csh, job control, termcap, curses, vi, symbolic links) 等の BSD による拡張機能も持っています。System V の動き は現在では Unix International (UI) によって管理されています。UI のメン バーには、AT&T や Sun などが含まれています。これらに関する記事は comp.unix.sysv[23]86 に投稿されています。メインとなるリリースは以下の 通りです。

- System III (1982): first commercial Unix from AT&T
- FIFOs (named pipes) (later?)
- System V (1983):
- IPC package (shm, msg, sem)
- SVR2 (1984):
- shell functions (sh)
- SVID (System V Interface Definition)
- System III (1982): AT&T から出された最初の商用 Unix
- FIFOs (名前付きパイプ) (後のバージョンかも)
- System V (1983):
- IPC package (共用メモリ, メッセージ,セマフォ)
- SVR2 (1984):
- shell 機能 (sh)
- SVID (System V インターフェース定義)
- SVR3.2:
- merge with Xenix (Intel 80386)
- networking
- SVR3 (1986) どのようなマシンを対象に考えたか不明:
- STREAM (V8 で取り込まれた機能),poll(), TLI(ネットワーク ソフトウエア)
- RFS
- shared libs (共用ライブラリ)
- SVID 2
- demand paging (ハードウエアがサポートしている場合に限る)
- SVR4 (1988) Unix の実装においては主流であり、System V, BSD そして SunOS を統合したもの。
- SVR3 から導入した機能: システム管理機能,ターミナルI/O, プリンター(BSD からというべきか?,RFS, ストリーム, uucp
- BSD から導入した機能: ファットファイルシステム,TCP/IP, ソケット,select(), csh
- SunOS から導入した機能: NFS, OpenLook のグラフィカルユーザー インターフェース, X11/NeWS, メモリにマッピングされたファイル を使用する仮想メモリ管理サブシステム, 共用ライブラリ(SVR3 のものと違うのでしょうか?)
- k シェル
- ANSI 準拠の C
- 他国語対応(8ビットクリーン)
- ABI (アプリケーションバイナリレベルでの互換性 -- トラップ のかわりのルーティーン)
- POSI, X/Open, SVID3
- SVR4.1
- 同期 I/O (SunOS からでしょうか?)
- SVR4.2 (SVR4.1ES をベースにしています)
- Veritas FS, ACLs
- 動的にロード可能なカーネルモジュール
- これから:
- SVR4 MP (マルチプロセッサ版 SVR4 )
- Chorus マイクロカーネルを使用?
Berkeley Software Distribution (BSD).
VAX や RISC チップを使った多くのワークステーションで標準的に使われてい ます。System V よりダイナミックな研究目的のバージョンです。Unix が大き な人気を持っているのはこれのおかげです。Unix につけ加えられた拡張機能 の多くは、ここで起こったものです。UCB (University of California at Berkeley) で開発の責任を負っているいるのは Computer System Research Group (CSRG) です。このグループは 1992 年に廃止されました。記事は comp.unix.bsd に投稿されます。主要なリリースは以下の通りです。

(再構成された日付、リリースはたくさんありますが収束しつつあるといいな と思います)

- 2.xBSD (1978) は PDP-11 用のものですが、まだ重要なのですね。 (2.11BSD は なんと 1992 年にリリースされました)
- csh
- 3BSD (1978):
- 仮想メモリ
- 4.?BSD:
- termcap, curses
- vi
- 4.0BSD (1980):
- 4.1BSD (?): 後の AT&T オリジナルバージョンのベースになっています。
- job 制御
- カーネルの自動的なコンフィグレーション
- vfork()
- 4.2BSD (1983):
- TCP/IP, ソケット,イーサーネット
- UFS: 長いファイル名,シンボリックリンク
- 新しい,リライアブルシグナル(4.1 のリライアブルシグナルは, 現在,SVR3 に用いられています)
- select()
- 4.3BSD (1986) VAX 用,バージョン不明:
- 4.3 Tahoe (1988): ソース付きの4.3BSD, Tahoe 版のサポート (32-bit スーパーミニ)
- Fat FFS
- 新しい TCP のアルゴリズム
- 4.3 Reno (1990) VAX, Tahoe , HP 9000/300 用
- P1003.1 の多くをサポート
- MFS (メモリファイルシステム)
- OSI: TP4, CLNP, ISODE's FTAM, VT , X.500; SLIP
- Kerberos
- Net1 (?) と Net2 (1991年6月版)のテープ:
BSD の一部ですが、USL の著作権に抵触しないコード
- 4.4BSD (1992 年 6 月の alpha 版), HP 9000/300, Sparc, 386, DEC あるい はそれ以外のマシン向けですが、VAX 用でも Tahoe 用でもないもので、2つ のバージョン、つまり、フルセットでないセット(Net2 の中身とフィックス された分と新しいアーキテクチャ用のコード)、USL のライセンスを必要とす るすべてのものを除いたものです。
- Mach 2.5 をベースにした新しい仮想メモリシステム(VMS)
- 仮想ファイルシステムインターフェース,log-structured ファイルシステ ム,ローカルファイルシステムのサイズ上限の 2^63 への拡張 NFS (自由に再配布可能で,Sun の UDP や TCP で動くもの)
- ISO/OSI ネットワーキングサポート(ISODE をベースにしています): TP4/CLNP/802.3 そして TPO/CONS/X.25 セッションと上記のものは、ユー ザー領域にありますが、それはつまり FTAM, VT , X.500 のことです。
- POSIX.1 のほとんど(特に,SV の新しいターミナルドライバ),POSIX.2 の ほとんど改良されたジョブ制御,ANSI C ヘッダ
- システムの多くと( NFS を含めた)統合したケルベロス
- (ヘッダの予測,SLIP を含んだ)TCP/IP の機能拡張
- (新しいシステムコールの取り決め,その他の)カーネルの重要な変更
- その他の改良: FIFO, バイト単位でのファイルロック
上でコメントした 4.4BSD のオフィシャルなものは 6カ月以内に出る予定です。
オープンソフトウエアファンデーション (OSF) は、OSF/1 と呼ばれる独自の Unix を 1991 年にリリースしましたが、それは、まだ SVR2 のライセンスが ないと使用できません。OSF/1 は、SVID 2 (そしてきたるべき SVID 3), POSIX, X/Open, そのほかに適合しています。OSF のメンバーには Apollo, HP, IBM そのほかの会社がいます。
- OSF/1 (1991):
- Mach 2.5 のカーネルがベース
- シンメトリックなマルチプロセッシンング,平行的に動くカーネルス レッド
- 論理ボリューム,ディスクミラーリング,(ネイティブな)UFS, S5 FS, NFS
- (B2 を少し含んだ B1, B3 または C2 等の)機能拡張されたセキュリティ
- ストリーム,TLI/XTI, ソケット
- 共有ライブラリ,(カーネルを含んだ)動的ローダ
- Motif の GUI
- 将来: 将来:
- OSF/1 の MK (マイクロカーネル)は Mach 3.0 をベースに
ここに挙げた主な流れのなかには、おそらく (マイクロソフトによる) 多くの 移植のベースになった Xenix も含めるべきでしょう。このl OS は V7 から起 こり、SIII になり、そして最終的には System V になりましたが、外部はあま り変わっていなくても、内部は (マイクロソフト向けにパフォーマンスをチュー ンナップされ) 画期的な変化をとげたのでした。 2冊の大変いい本に2つの主な流れのOSの中身について説明されています。 2冊の本とはつぎのものです。
- System V: "Design of the Unix Operating SYstem" (M.J. Bach 著)
- BSD: "Design and Implementayion of the 4.3BSD Unix Operating System" (Leffler, McKusick, Kareis, Quaterman 著)
(訳者注) 訳書についての情報をお願いします。

OSF/1 の入門として適当な (しかし、さきにあげた2冊程は技術的な内容では ないですが) 本は O'Reilly から出版された、 "Guide to OSF/1, A Technical Synopsis" です。 SunOS に関しては、"Virtual Memory Architecture in SunOS" と、1989 年の 夏の USENIX の会報である "Shared Libraries in SunOS" でしょう。

Unix がいまどうなりつつあるのかは、1992年4月に出た Unix Review の "Unix Variants" に詳しく書かれていますが、bsd-faq のファイルや、そのテ キストに述べられている newsgroup の多くからより多くの情報を得ることがで きます。


UNIX FAQ LIST / Copyright(c)1994,Ted Timar / tmatimar@isgtec.com


Maintainer: あさだ たくや