Subject: A very brief look at Unix history.
>From: "Pierre (P.) Lewis" <lew@bnr.ca>
Date: Fri Jan  8 14:56:22 EST 1993
X-Version: 2.5

6.2) Unix の歴史の概要

Unix の歴史は 1969 年、Ken Thompson と Dennis Ritchie (K&R の R にあた る人物)その他の者が後に Unix となるものに携わった、有名な "ほとんど使 われず,片隅に放ってあった PDP-7" にまで遡ります。"Unix" は,Multics のしゃれのつもりでつけられた名前です (そして、これは当初 "Unics" とい うふうに書かれていました。つまり、UNiplexed Information and Computing System という意味です)。

最初の 10 年間、Unix の開発は特に Bell 研究所の内部だけで行われました。 初期のバージョンは、"バージョン n" あるいは、(マニュアルの) "N 番目の バージョン" と呼ばれていて、DEC社の PDP-11 (16 bit マシン) と、その後 の VAX (32 bit マシン) の為に作られたものでした。

V1 (1971):
Unix の最初のバージョンで、PDP-11/20 のアセンブラで書かれて おり、ファイルシステム、fork()、roff、ed をサポートしていました。こ のバージョンは、特許を作成するテキスト処理用の道具として使われてい ました。pipe() が最初に現れたのは V2 からでした。
V4 (1973):
この年、C 言語で書き直されました。このことはおそらく、この OS の歴史の中で最も特筆すべき事柄でしょう。なぜなら、これは Unix が数カ月間で新しいハードに移植できること、そして移植が容易になった ことを意味するからです。 C 言語は Unix というオペレーティングシステム向けに新たに設計された 言語なので両者には密接なつながりがあります.
V6 (1975):
Bell 研究所の外部(特に大学)で一般的に使用できるようになった 最初のバージョンの Unix です。これは、また、Unix が一般的で人気を持 つようになったきっかけでもあります。1.xBSD (PDP-11) はこのバージョン から生まれました。J. Lions は、"A commentary on the Unix Operating System" を V6 を元にして書きました。
V7 (1979):
多くの人々にとっては、これは "最後の本当の Unix" であり、 "これまでの、そしてこれからの Unices すべてに渡る進歩" [Bourne] でし た。このバージョンには、K&R の C 言語のすべてと、uucp, Bourne shell が含まれています。V7 は 32V として VAX に移植されました。V7 のカー ネルはたった 40 キロバイトの大きさしかありませんでした。

以下に示すのは,V7 のシステムコールです.. _exit, access, acct, alarm, brk, chdir, chmod, chown, chroot, close, creat, dup, dup2, exec*, exit, fork, fstat, ftime, getegid, geteuid, getgid, getpid, getuid, gtty, indir, ioctl, kill, link, lock, lseek, mknod, mount, mpxcall, nice, open, pause, phys, pipe, pkoff, pkon, profil, ptrace, read, sbrk, setgid, setuid, signal, stat, stime, stty, sync, tell, time, times, umask, umount, unlink, utime, wait, write.

これらのバージョンナンバーのついたバージョンは、ベル研究所の Computer Research Group (CRG) で開発し、ほかのもう1つのグループの、Unix System Group (USG) が サポートすることになっています。ベル研究所では、もう1 つのグループが Unix の開発に関わっていますが、それは私達がお世話になっ ている、例えば sccs、名前付きパイプ、その他、たくさんのアイディアに関 わるProgrammer's WorkBench (PWB) のグループです。これらのグループは 1983年に Unix System Development Lab に統合されました。

もうひとつの UNIX の変種は、ベル研究所コロンビア支社の Operations Support Systems 部門から来た CB Unix (Columbus Unix) です。これは主に SV IPC の一部として貢献しました。

Unix の作業は 1980 年代の間続けられました。V シリーズは (Stroustrup が 彼の C++ に関する本の第2版で V10 のことに触れてはいますが) この後もさ らに CRG で開発されましたが、この別系統のバージョンについては、さらに 話題が出て来るようには思えません。現在,Unix (System V) の管理に責任を もっているのは、Unix System Laboratories (USL) で、この会社はほぼ AT&T のものといって良い会社です。USL は Novell 社に買収されました (1993 年 前期)。ノベルは X/Open に "UNIX" の商標権を譲りました。(1993 年後期)

(訳者注) Novell 社は、実際に USL を買収し、現在は NetWare と Unix の融 合した OS "UnixWare" を開発、販売している。

しかし AT&T の外部、特に (別のメジャーな系統が発生した場所である) Berkeley では Unix に実に多くの出来事が起こっていました。ベンダー (特 にワークステーションの)もそれに大きく(Sun の NFS などがそうです) 寄与 しました。

Don Libes と Sandy Ressler の共著である "Life with Unix" は、Unix に関 心を持った人なら誰でも読みたくなるような本ですが、ここには、歴史の大部 分やお互いの影響、その他について書かれています。このセクションで述べた ことの多くは,この本にも簡単に説明してあります。


UNIX FAQ LIST / Copyright(c)1994,Ted Timar / tmatimar@isgtec.com


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